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第257話
その夜はから、榛葉の夜中に飛び起きる回数が減った。
全く無くなったわけではないが、和らいだ気がする。
そして、俺と緑に藤宮の死について聞いてきたので、緑が知る範囲で説明しておいた。
警察に消されたかもしれないという『もしも』は伝えず、報道された説明を全て。
そして榛葉のことをいつから見ていたのかなど、実は一時期、隣の部屋に住んでいたこともあることなど。
調べた資料を全部見せたら、震えながらも納得したようだ。
力なく笑った後、一滴涙を流した。
それが藤宮の為なのならば――こいつは何処までも御人好しだが、それは榛葉なのだと俺はもう諦めている。
「立花さん、立花さん、今日、ちょっと俺、遠出します」
朝、廊下をぱたぱた走ってきた榛葉は、ベランダで煙草を吸う俺にそう伝える。
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