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第258話

その姿は、紺色のエプロンにおたまを持って朝ごはんを作っている途中のようだ。 「何処へ――いや、いい。ではリューか菊地でも運転手に使え」 根掘り葉掘り聞くのもいけないだろうと遠慮して言うが、榛葉は首を振る。 「電車で一時間ぐらいです。もう一つ、気になる専門学校見つけたんです」 「……そうか」 俺の不動産なら家賃は要らないし、電車なんて乗るな、とも言いたいが押しつけがましくなりそうで言えず。 榛葉を自由にすると決めてから、調子が狂って嫌になる。 「なるべく早く帰ってきますよ。で、今日は立花さん、何食べたいですか」 「……肉」 何でもいいと答えると、榛葉が困るので取り合えす伝えるとにっこりと笑う。 そのまま迎えに行って一緒にどこかで食べた方が疲れている榛葉には楽だろうが――手料理を食べたい。

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