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第260話
(今日、何が良いかな)
スーパーに寄って買い物かごを腕にかけると、携帯を確認する。
連絡がないってことは、いつも通りの時間に帰るってことだよね。
「あれ? 榛葉くん、偶然ですね」
「菊池さんっ ・・・・・・偶然?」
ここ、会社から遠い駅地下のスーパーですけど。
絶対に立花さんの命令で様子見に来たんだ!
全然立花さん、俺の事信用してないじゃん!
「本当に偶然ですよ。そんなに警戒した目で見ないでください。ここの物産展で、世界のチーズが売っているっていうからワインのお伴を探しに来たんですよ」
「……」
嘘だ。
菊池さんは、日本酒とか飲む人だ。
俺だって人を疑う事を覚えてたんだから、嘘かどうかさえすぐに分かる。
多分。
「警戒しないで良い相手に警戒するのって駄目ですよ。社長にチーズ選んじゃ似ましょう。とっておきの臭い匂いのチーズと、すっごいカビのチーズ、社長が食べるの想像したら面白くありませんかー?」
立花さんがチーズを見つめてどんな顔するのかそれってちょっと気になるかも。
「お、お伴させてください」
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