259 / 348

第260話

(今日、何が良いかな) スーパーに寄って買い物かごを腕にかけると、携帯を確認する。 連絡がないってことは、いつも通りの時間に帰るってことだよね。 「あれ? 榛葉くん、偶然ですね」 「菊池さんっ ・・・・・・偶然?」 ここ、会社から遠い駅地下のスーパーですけど。 絶対に立花さんの命令で様子見に来たんだ! 全然立花さん、俺の事信用してないじゃん! 「本当に偶然ですよ。そんなに警戒した目で見ないでください。ここの物産展で、世界のチーズが売っているっていうからワインのお伴を探しに来たんですよ」 「……」 嘘だ。 菊池さんは、日本酒とか飲む人だ。 俺だって人を疑う事を覚えてたんだから、嘘かどうかさえすぐに分かる。 多分。 「警戒しないで良い相手に警戒するのって駄目ですよ。社長にチーズ選んじゃ似ましょう。とっておきの臭い匂いのチーズと、すっごいカビのチーズ、社長が食べるの想像したら面白くありませんかー?」 立花さんがチーズを見つめてどんな顔するのかそれってちょっと気になるかも。 「お、お伴させてください」

ともだちにシェアしよう!