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第262話

ぽいぽいと菊池さんは籠に入れると、強引に俺の籠を持って一緒にカードで払ってくれた。 「自分の分、払います!」 「榛葉くん、私はね、今、嬉しいんです。これは御礼です」 払い終わったカゴを渡されて、顔を見たら、いつもの優しい菊池さんの顔が――さらに破綻していた。 「あんな、敵か下僕としてしか人を判断しないような人間として欠落してばかりの社長が、君の心を労わるようになって驚きました。槍が降るどころか隕石が落ちてくるのかと思いました。でも、嬉しい。こんな風に、欠落した人間でも、ちゃんと成長できるんですねって」 「成長・・・・・・。俺は、立花さんに怖いって気持ちをぶつけてきただけです」 「それでいいんです。怖いって貴方に言われたからこそ、あのお馬鹿も変わろうとしているんです。――以前、貴方達は身体だけしか繋げていないと暴言吐いたことお許し下さいなー」 「……いえ。それは合ってますし」

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