266 / 348

第267話

ちょっと頬が赤い気がして額を触ろうとしたら、睨まれて固まった。 「……すいません」 「しゅんって顔をするな」 「じゃあ、何に怒っているんですか」 「怒っていない!」 吐き捨てる様な、短い言葉に固まる。 でも怒っていないとしたら、拗ねてるような?  やっぱこんな良いお肉を焼き過ぎたのが駄目だったのかな。 どうしていいのか分からずにうろたえる俺に、立花さんは乱暴にフォークとナイフを置いた。 「また色々勝手に悩まれても迷惑だからはっきり言うぞ」 「はい」 「そ」 そ? 立花さんの顔が、険しくなる。 「そのパンフレットはどういうつもりだ」 「パンフレット?」 住宅情報誌のことではないとすると、専門学校のパンフレット? でもこれは何度か見せて、立花さんも目を通してくれていたのに。 俺が、不機嫌な立花さんの目線の先のパンフレットを見て、フォークを指先からぽろりと落としてしまった。 そうだ。 これは、――着物の着付け講座のパンフレットだ。

ともだちにシェアしよう!