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第278話

確かに出会い方から何から、本当に色々とあったけど、でも恨みはしていない。 「あれ? インターホン聞こえなかったかな」 も一度鳴らすが、誰も出て来ない。 寒田さんが庭師のおにいさんに声をかけると、落ちた葉っぱを集めながら庭師さんも首を傾げる。 「朝は使用人がいましたよ」 「そうですか」 「でもご当主さんには一度も会えていませんね、確かに」 「この一週間、窓辺にも立たれていないよな」 「そうそう」 庭師は、前金で給料は頂いているらしく中の人の事はあまり気にしていなかったらしい。 いや、あんな見た目が怖い人だし、使用人さんたちも怖い人ばっかだし仕方ないかもしれないけど。 仕方なくもう一度鳴らすと、二階から小さな音が聞こえた気がした。 「仕方ないですね。もう今日は帰りましょう」 「でも」 俺の仕事柄、返事が無かった場合、新聞紙が溜まってないかとか洗濯物は干しっぱなしでないかとか色々判断してから中で倒れている可能性もあるから警察を呼ぶ時もあるのに。

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