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第283話
車を回してくる寒田さんの背中が見える中、立花さんは俺を見る。
「俺達、一年ぶりじゃねーのか」
「はい、そうですよね」
「なんだ、この再会は! もっとお前、嬉しそうにしろ」
「えええ!?」
「普通に溶け込んで、普通に会話しやがって」
煙草を取り出すと、立花さんは火を付けた。
こんな子供っぽいこと、言う人だったけ?
「立花さんこそ普通じゃなかったですか! 感動的な再会を夢見ているなら自分だって努力して下さいよ!」
「俺は年齢偽装してまで機会を作ってやった!」
「此処が終わったら行こうと思ってました!」
「こんな所より、先に来いっ」
「――っ」
おかしい。おかしい。
もっと立花さんは大人っぽい演出で迎えに来てくれると思ってたのに。
仕事が終わった後、仕事場の目の前に止まる高級車。
その高級車に持たれて煙草を吸う立花さんが、夜のシルエットに浮かぶ。
そこで俺が駆け寄ると、甘く笑ってくれたり、とか。
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