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第284話

「で、成長できたのか」 「へ?」 感動の再会をシュミレーションしていたら、 「俺の元を飛び出したぐらいだ。成長できていなかったら許さん」 「着、着つけできるようになりましたよ!」 「それだけか」 「か、感じ悪いっ」 不機嫌そうだし子供っぽいし、拗ねてるし、感じ悪い。 こんな感情を表す人でしたっけ? 菊池さんも寒田さんもこの人が成長したとか、大袈裟に言いすぎじゃないですか!? 「車、回しましたよ」 「……菊池さんの後を追って下さい」 「え?」 「お願いします」 佐之助さんが気になるんだ。 「こいつの好きにしてやれ」 立花さんが隣に乗り込むと、――彼の煙草の匂いが鼻を掠めた。 大きな彼の肩が乗り込む際に少し触れるとピリピリと甘く痛んだ。 「お、俺、痴漢撃退用の護身術も習いました! 変な事もうできませんからね!」 窓際に少し寄って、距離を取ると彼は馬鹿にしたように俺を見て口角をあげた。 「俺はもうお前の同意無ければ触らない」

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