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第285話

「ふあ!?」 「さっさと出発しろ」 長い脚を組みながら、相変わらずの不機嫌そうな顔で――立花さんが成長している? ど、どどどどどうして? 俺が居ない一年の間に一体、どうしてこんなことになっちゃったの? 「榛葉くん、俺も同じ気持ちです。あとで答え合わせしましょう」 「は、はい」 立花さんの横顔を見ると、懐かしくて、甘酸っぱくて、抱き締めたい衝動に駆られるけど――彼はいつもどおりに澄ました顔で。 俺だけ一人、あたふたしてる感じだ。 「此処ですね。二人とも先に降りて下さい」 国立病院の前で菊池さんは車を止めると、そのまま車を放りだし佐之助さんを抱いたまま病院内へ入って行った。 「っち。俺の車だぞ。――先に行ってろ」 立花さんが顎で指図してくるのは、相変わらずのまま、俺は菊池さんの後ろを着いて行った。

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