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第287話

今すぐ逢いに行きたくても、逢いに行けば榛葉に怒られるならば――俺からは絶対に連絡さえも取ってやらない。 携帯を変えて、絶対に。 「優征ってそんなに子供っぽかったですっけ?」 変わりに携帯を買いに行かせていた緑が、俺に携帯を渡しながら笑う。 「知るか」 「年相応な感じで褒めてるんですよ」 褒められている気分にはなれないが、俺はその足で菊池を訪ねた。 菊池には、マンションを何棟か管理させているが、こいつはその一棟の最上階に住んでいる。 「こんな時間にどうしたんですかー?」 「事業の拡大と、くそ馬鹿息子のせいでついていた社のヤクザと繋がりがあるイメージを払拭させたい」 「へー。不動産以外にも何に手を出すんですかー? イメージはそう簡単には戻らないですよ、あの人が死ねば別ですが」 そう言いながらも俺の考えをすぐに企画に移してくれ、動くのも早かった。 それから一年が過ぎての今だ。 一年ぶりなのに、この反応の薄さはなんだ一体。

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