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第291話
取り出したコンパクト型の口紅を取り出し、小指に付けると薄く口を開いた。
そして立花さんの顔を見ながら笑う。
「――ね?」
誘う様に唇に赤を塗る。
一年間、自分だけが一番苦しかったッて顔をしている年下の愛しい君に。
「くそっ」
立花さんは俺を壁へ押し付けると、獰猛な目で俺を見て言う。
「今のはお前が誘ったからな」
「んんっ」
否定する間もなく、唇を塞がれる。
一年ぶりの立花さんの温もりに、唇の温かさに、頭の芯から痺れていく。
背中に腕を回したら、肩足を持ちあげられてぐりぐりと中心を押し付けられた。
「だ、めっ」
「喋るな」
肩に噛みつかれ、太ももを撫でられ、唇を塞がれて――俺は立花さんの唇に噛みついた。
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