290 / 348

第291話

取り出したコンパクト型の口紅を取り出し、小指に付けると薄く口を開いた。 そして立花さんの顔を見ながら笑う。 「――ね?」 誘う様に唇に赤を塗る。 一年間、自分だけが一番苦しかったッて顔をしている年下の愛しい君に。 「くそっ」 立花さんは俺を壁へ押し付けると、獰猛な目で俺を見て言う。 「今のはお前が誘ったからな」 「んんっ」 否定する間もなく、唇を塞がれる。 一年ぶりの立花さんの温もりに、唇の温かさに、頭の芯から痺れていく。 背中に腕を回したら、肩足を持ちあげられてぐりぐりと中心を押し付けられた。 「だ、めっ」 「喋るな」 肩に噛みつかれ、太ももを撫でられ、唇を塞がれて――俺は立花さんの唇に噛みついた。

ともだちにシェアしよう!