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第301話

また、だ。 また。 立花さんの言葉が、声が――優しい。甘い。 余裕がないくせに、そんな俺の気持ちを全部持って行ってしまいそうな、真っ直ぐな言葉。 こんな事、一年前の立花さんからは貰えなかった。 気持ちさえも何も言ってもらえていなかったけど、でも今は違う。 それは、俺が立花さんを受け止めたいって思っているからからかもしれないけど。 「キス――またするんですか?」 「ここでキスなんてしてみろ。それだけで済まないだろ」 確かに。俺もそれだけではとっくに我慢できなくなっている。 俺は、やんわりと立花さんの胸を押して、距離を取った。 「続きは、あの家でお願いします」 そう言ったら、双方の目がに開いたのが分かった。

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