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光風霽月(こうふうせいげつ)
庭堅(ていけん)称す。
その人品甚だ高く、胸懐灑落(さいらく)にして光風霽月の如し。
ぽっかりと、夜を照らす満月の夜。
窓辺のすぐ近くの椅子に榛葉は座らされると、立花は傅く。
今まで人を見下ろしてきたような、人を人だと思わない冷徹だった男が、榛葉の前で膝を付きそして見上げている。
言葉も、優しさも、榛葉にあげたことが無かったのは、それを知らなかったから。
でも立花は、それらを全て榛葉から貰った。
だから、彼は榛葉の足を持ちあげて、そして深く口づけをした。
足の指先を一本一本、丁寧に口づけ、まるでおとぎの国の王子の様に榛葉を大事に扱った。
それを榛葉もうっとりと見つめている。
「榛葉」
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