304 / 348

第305話

Side:愛沢 榛葉。 全部脱がされ、立花さんが荒々しく上着を脱ぎ捨て覆いかぶさって来る頃には、もう涙が溢れて止まらなかった。 気持ちが溢れて溢れて、そして立花さんが本音を吐露してくれたせいか、喜びで身体がいつも以上に反応している。 太股を撫でる指先に、服を脱がす優しい手つきにさえも。 もう止まらない。 ぴりぴりと快感で痺れて、何も考えられなくなる。 そうか。 優しすぎるのも――酷いことなんだ。 「立花さん、も、意地悪しないでっ」 ただ、服を脱ぎ、唇を交わすだけで満たされるほど今日も自分は穏やかではない。 もっと。 全てが欲しい。

ともだちにシェアしよう!