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第306話
立花さんは、小さく笑うと上を全て脱いだ。
満月の光だけが頼りな夜。
立花さんの身体が、淡い光に照らされて浮かび上がるのが、とても妖艶だった。
この逞しい身体に抱かれていたのか。
この逞しい身体に――抱かれたいと胸が騒いでいるんだと。
本当に自分が女だったのならば、この人の不完全な部分を全部補う事が出来たかもしれないのに。
俺はそれでも、補えた。そう思う。
止まらない夜、お互いの身体をきつく抱きしめる。
丁寧な愛撫は今は拷問に近かった。
何度も飲み込んだ唾液は、絡み合って夜に溶けていく。
立花さんは、――もう舐めていない場所はどこもないぐらい、俺の全てを丁寧に舐めると、ゆっくり指を侵入させた。
「ひっ、ぁあっ」
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