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第307話

「いい。背中に爪を立てろ」 シーツを掴んで、襞をなぞる感触に耐えようとしていた俺にそう、言う。 「立花さんっ」 「優征、だ」 いつもの、低くて落ちついた声が少し上ずっていて、余裕が無いところが堪らなく愛しい。 さっきの言葉は、二度と言ってくれない気がするけれど、それでもアレが本音なんだっていつも思う事にする。 それだけで、不安なんて消し飛んでしまうよ。 「何を笑ってる」 「――っ」 拗ねたように言うくせに、指は深く深く、付け根まで侵入している。 「奥っ 当たってるっ」 腰を撓らせてその快感をやり過ごそうとしたら、腰を掴まれ上へ引き寄せられる。 自分の身体の重みで、更に指の形まで想像できそうなぐらい締めつけながら声を漏らした。 「名前、呼んで良いって言ったんだが」 「ふふ。優、せ、ぃっ ああぁっ!」

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