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第322話

肩を震わせている。 そんな、熱燗ぐらいで震えるほど怒っているのか!? 焦って出ようとしたら、優征が声を上げて笑いだした。 「お前、可愛すぎ」 コタツムリってなんだ? そう腹を抱えて、お鍋に水を沸かし始めた。 その手がおぼつかなくて危なっかしい。 ――でも優征が笑ってる。 俺、優征が声を上げて笑ってるの、初めて見たかも。 暴君の目にも笑顔みたいな。 「優征、俺がするよ」 優征の背中にひっついたあと、ピンと思い浮かんだ。 「優征にくっつく榛葉ツムリです」 ぶはっと笑うと、振り返って俺の両頬を引っ張る。 「可愛すぎる。年下は俺の方だぞ」 「だって、嬉しくて。――ありがとう、優征」 俺の為に、プレゼントを用意してくてるなんて嬉しい。 「榛葉」 そのまま両手で頬を捕まえられると、顔が近づいてきた。 キスされる――と目を閉じて待っていたら、後ろでお湯がぐつぐつと沸騰を始めた。 「――イイ子でこたつの中で待っていろ」 お預けをくらいショックで俺は再びコタツムリになりました。

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