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第324話

「ううう。身体、熱くなってきた」 「脱がそうか?」 「馬鹿ー! 離せよ!」 優征に視感を投げつけると、その眼は既に悪戯全開の悪い目になっていた。 「お前、此処は身体を温めて視感を食べる神聖な場所なんだぞ」 「俺もそう思っている」 「ぎゃーっ」 また強引に顎を掴まれ、コクンと飲み込んでしまった。 「お前は飲んでいたほうが素直で、快感に従順だからな」 「そんな事、ない――っ」 と思うも、飲んだ後の記憶はほとんどなくなるから、これ以上は本当に駄目だ。 慌てて蜜柑を向いて、三つほど優征の口の中に押し込んだ。 「……俺はその糸くずみたいな繊維はとって欲しい」 「駄目だ。これに栄養があるんだ。喰え」 「榛葉の指で、丁寧に取り除いてほしい」 「我儘言うと、一個まるごと食べさせてやる」

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