323 / 348
第324話
「ううう。身体、熱くなってきた」
「脱がそうか?」
「馬鹿ー! 離せよ!」
優征に視感を投げつけると、その眼は既に悪戯全開の悪い目になっていた。
「お前、此処は身体を温めて視感を食べる神聖な場所なんだぞ」
「俺もそう思っている」
「ぎゃーっ」
また強引に顎を掴まれ、コクンと飲み込んでしまった。
「お前は飲んでいたほうが素直で、快感に従順だからな」
「そんな事、ない――っ」
と思うも、飲んだ後の記憶はほとんどなくなるから、これ以上は本当に駄目だ。
慌てて蜜柑を向いて、三つほど優征の口の中に押し込んだ。
「……俺はその糸くずみたいな繊維はとって欲しい」
「駄目だ。これに栄養があるんだ。喰え」
「榛葉の指で、丁寧に取り除いてほしい」
「我儘言うと、一個まるごと食べさせてやる」
ともだちにシェアしよう!