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第334話
むっとすると、困ったような泣きだしそうな顔をした。
カレーの良い匂いがするのに、何か失敗でもしたのだろうか。
「榛葉」
強い口調で言うと、榛葉が覚悟を決めたようにドアから出てきた。
「お、お……かえりなさい」
「っ」
もじもじとエプロンの前を必死で抑えながら、
何故か榛葉はフリフリのエプロン以外、何も身に付けていなかった。
「お前……」
「ふ、服を着たら怒るかなって思ったけど、やっぱこれ恥ずかしいです」
今にも泣きだしそうだ。
だが、
寒田に頼んだメモに俺はエプロンなんて書いてないはず。
あいつが勝手に、こんなフリフリの白いエプロンを入れたのか。
そして榛葉は勘違いして、素直に着たわけか。
「や、やっぱり似合わないですよね。俺もそう思います」
「……」
「こ、これで良かったでしょうか?」
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