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第344話

「これどうしたんですか?」 リューさんが魔女のマントを羽織りつつ菊池さんに尋ねた。 「土地の所有権で揉めてる立花一族の方の家から頂いてきました。お金も払わないのに呑気にハロウィンなんてしやがって、あのゴミ。粗大ごみに出したいぐらいです」 「……」 「ほら、榛葉くんはオオカミが似合うよ、これ着て、ちょっとだけ表通り行ってみようか?」 寒田さんの提案に、リューさんも嬉しそうに飛んでくる。 「えー。だから榛葉さんには魔女っこだってば。ほら、段ボールの中に何故か女物の下着も入ってるし、黒のガーターもあるよ」 「いや、俺、ガーターとか着たこともないし」 「私が着せてあげますよ」 何故か身を乗り出してきた菊池さんに、寒田さんが容赦ないチョップを繰り出した。 でも――。

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