343 / 348
第344話
「これどうしたんですか?」
リューさんが魔女のマントを羽織りつつ菊池さんに尋ねた。
「土地の所有権で揉めてる立花一族の方の家から頂いてきました。お金も払わないのに呑気にハロウィンなんてしやがって、あのゴミ。粗大ごみに出したいぐらいです」
「……」
「ほら、榛葉くんはオオカミが似合うよ、これ着て、ちょっとだけ表通り行ってみようか?」
寒田さんの提案に、リューさんも嬉しそうに飛んでくる。
「えー。だから榛葉さんには魔女っこだってば。ほら、段ボールの中に何故か女物の下着も入ってるし、黒のガーターもあるよ」
「いや、俺、ガーターとか着たこともないし」
「私が着せてあげますよ」
何故か身を乗り出してきた菊池さんに、寒田さんが容赦ないチョップを繰り出した。
でも――。
ともだちにシェアしよう!