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第345話
「駄目だ。そんな人が大勢いる場所に榛葉を連れていけるわけないだろう」
盛り上がっていた会話も、立花さんの一言で水を打ったように静まり返ってしまう。
「状況を考えろ。榛葉、馬鹿たちは置いて帰るぞ」
立花さんがパソコンをカバンに仕舞い、立ち上がる。
その瞬間、オオカミの耳を付けていた俺を、穴が開くほど睨んだ。
馬鹿な格好だと呆れてるんだ。
「お前、コレが似合うから着てみろよ」
「リュー」
リューさんが黒の全身タイツを立花さんに渡すと思いっきり蹴られて寒田さんに泣きついている。
「ぼ、暴力は駄目です。俺、行きませんから辞めて下さい」
リューさんに駆けよって代わりに謝ると、リューさんは許してくれた。
「楽しそうですし、俺の事は気にせずに行って来てください」
「榛葉さん」
「……最近はこんなに本格的な衣装なんですね。面白そうです」
場を和ませるための、何気ない言葉を選んだつもりだった。
「二時間後だ」
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