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第347話
「そ、そんな格好じゃ皆とハロウィンできないじゃないですか。俺だけここに閉じ込めるんですか」
「榛葉?」
「ううっ 俺、俺っ 我儘言ってごめんなさい。酷いことしないでください」
急に悲しくなった。
ハロウィンだと浮かれた自分が恥ずかしい。立場も弁えず立花さんを怒らせてしまったんだ。
「ごめんなさい。俺、もう寝ます」
しゅんと俯きながら布団を頭まで被ると、立花さんは舌打ちした。
「あざとい奴め」
あざとい?
「キス、しろ。お前から」
「一時間で俺を満足させたら、違う衣装を用意してやる」
一時間で満足?
良く意味が分からなかったけれど、恐る恐る立花さんの方に手を伸ばして、俺は唇を重ねた。
俺からするように強要することは良くあることだけど、それの慣れてしまった俺ももうどこかおかしいのかもしれない。
首を傾げた俺に、立花さんはちょっとだけ悔しそうな顔をする。
「そのトボケた顔が俺を煽ってるんだよ」
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