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第7話

「え、えっと…………そもそも、あなたたち……誰……ですか?それに、ここって……どこ何ですか?」 俺が猫山に殺害される前よりも幾分甲高い子供特有の声色で遠慮がちに兄だと名乗る三人の男へと尋ねた途端に一気に視線が突き刺さる。 「えっ…………!?」 そして、ほぼ同時に三人共が驚いたように呟いたが―――むしろ、そのような態度をとりたいのは訳が分からぬ内に子供(しかも日本人離れしたクリクリカールの金髪緑眼)の姿へと変化して見知らぬ場所で見知らぬ三人の男達に囲まれていた俺の方だ。 「ちょっと、本当にどうしちゃったの……異国間同士の舞踏会に参加するための準備中に急に倒れたかと思ったら……自分が生まれ育った場所はおろか兄であるミズリア達の事まで忘れちゃうなんて……ミズリアは―――スーリアをそんな悪い子に育てたつもりはないよ!?」 「いやいや、ミズリア……てめえが育てた訳じゃねえだろうが。つーか、むしろ末子であるスーリアを育てたのは父様でもマ……いや、母様でもなく長男のオレだろうが……三男のネムリアは―――論外だけどな」 「もう、ハイリアお兄様は黙っててよっ……と、とにかく……これは見過ごしちゃいけないよ……っ……こんなに可愛い可愛いスーリアがミズリアの事を忘れちゃうなんて……っ……」 ギュウッ……とミズリアという男(おそらく兄弟間では次男)から俺は抱きしめられてしまう。それは、恋人同士が行う抱擁というよりは弟(本当は誤解なのだが)を目に入れても痛くないほどに可愛いがっている兄がとるスキンシップという感じのものだ。でも、ミズリアから抱きしめられたせいで俺のアナルに潜り込んでいる【インキュバス】が先ほどまでは大人しくしていたにも関わらず、再びモゾ、モゾと蠢き始めたため必死で体の芯から沸き上がってくる欲情を抑える。 と、その時―――急に異常事態が起こる。 暫くはアナルの中に潜り込んでた【インキュバス】によって与えられる快楽を必死で我慢し、それに伴う【欲情】をギリギリで抑えていた俺だったが、ふいに今までの快感とは比べ物にならないくらいに強烈な快感が体の中を雷のように駆け巡り―――不覚にも体をビクッと震わせてから下着の中に射精してしまった。 今いる場所が、白いフカフカの布団に包まれているベッドの中で良かった―――と、ホッとしているのも束の間何の予兆もなく俺の姿がクリクリカールの金髪緑眼の可愛い男の子の姿から猫山に殺害される前に【有栖川 】と周りの者達から呼ばれていた男子高校生の姿へと戻ってしまう。 今度は、先程の状況とはうって変わってスーリアという男の子の兄だという三人の男達がポカーンとした顔をして此方を凝視してきたため、俺は何となく気まずさを覚えてしまうのだった。

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