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第10話
※ ※ ※
「まあ、スーリア……あなたには珍しく白と黒の清楚な衣装を纏うなんて……お母様は嬉しいわ。やっと、ミラージュの王族であるっていう自覚が出たのね」
「は、はい……お母様……」
きらびやかな桃色のドレスに身を包み、白いティアラを被っている優しそうな婦人の王妃(母でもある)に、まさか異世界から来ました―――などとは口が裂けてもいえず、必死で口角をあげて内心では嘘をついているのがバレないかとヒヤヒヤしつつ―――俺は対面した王妃と王へとお辞儀した。
「さあ、話はそこらへんにして―――息子達よ、早く我々と共に舞踏会に参ろうではないか。各国の皆々様が、お待ちになられてるのでな」
「あらっ……そうよね、皆々様をお待たせしては悪いわよね。それでは、あなた……共に参りましょう」
威厳がありそうな王と、どこか天然っぽい王妃様のやり取りを見て思わず自然と笑みを浮かべてしまったが、これからの事を考えると再び憂鬱さが襲ってきた。これから、こちらの世界での【家族(えせだけどな)】とは別に―――更に面倒くさそうな各国の皆々様方とやらと対面しなければならないのだ。
とにかく、ミラージュの末子スーリアとして皆の目を誤魔化す事よりも尻の穴で蠢いている【インキュバス】による刺激のせいで先ほどからひっきりなしに襲ってくるこの凄まじい快感が皆にバレないようにする事の方が今は重要だ―――と思い詰めていた時、
「おい、スーリア……お前―――顔が赤いぞ?まさか、熱でもあんのか?」
「えっ……だ、大丈夫だよ……ハイリアお兄様……っ……ぼくは……大丈夫だから……気にしないで……」
ぐいっ……
と、何とか【尻に埋まっているインキュバスの刺激】による凄まじい快感からくる動揺を隠そうとすると、急に長男であるハイリアから腕を強く掴まれて引き寄せられてしまった。
そして―――、
「まあ、あんまり無理すんじゃねえぞ……あと、少しは俺に頼れよ……」
ポン、ポンと頭を撫でられた___。
「あらあら、あなたたち―――いつの間にそんなに仲良しになったの?お母様はとっても嬉しいわぁ……」
目尻に涙を浮かべつつ、頬笑ましそうに此方を見つめてくる王妃へと訳も分からずニッコリと愛想笑いを返した俺はハイリアに【インキュバス】のせいで下半身が勃起しかかっていることがバレないようにサッと離れた。
「ねえ、ネムリア……眠いから早く舞踏会終わわせて眠りたいんだけど……」
三男のネムリアが両目を擦りながら退屈そうに呟いた事で、ようやく俺はハッと我にこってミラージュでの【家族】と共に舞踏会が行われる部屋へと入って行くのだった。
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