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第12話

※ ※ ※ 「んっ…………!?」 「よかった……ようやく目を覚ましたのだな―――我が息子よ。全く父をハラハラさせるでないぞ」 (何だか頭がガンガンして……ボーッとする……何だっけか―――ええっと、確か舞踏会に出た時に変な奴が出てきて……) 「それで……っ……」 と、思わず声を出しつつ今まで自分の身に起きた事を考えている最中で俺は重要な事に気付いてしまった。雪のように、はたまた綿菓子のようにフワッフワで真っ白な布団をかけつつ横たわる俺を心配そうに覗き込んでいるのは―――ミラージュという異世界の王様らしいのだ。 【父】、【我が息子よ】と本人の口から言っていたので間違いない筈だ。何せ、俺は以前の世界での【男子高校生】という姿を手放して―――このミラージュという世界で王族の末子として生まれ変わって……いや、【猫山】という冷酷無慈悲な存在によって半ば無理やり転生させられてしまったのだから。 そういえば、先ほどの舞踏会とやらに来ていた【ブランシェ】とかいう変質者(容姿は最高級のイケメンだったが)はどうなったのだろうか。それに、奴が言っていた【テンセイシャ】という言葉も気になった。 もしかしたら俺と同じような境遇を辿った奴らがいるのかもしれない、と悶々と悩みつつ何の気なしに傍らにある鏡に目を移した時―――ふいに、そんな憂鬱な思いも吹き飛んでしまうくらいに重要でかつ衝撃的な事に気付いてしまった。 以前、それなりの時間を過ごしてきた世界での有栖川と呼ばれていた時―――つまりは【男子高校生】の見た目に戻っている。 しかも、よりによってミラージュの王でありスーリアの父がいる最悪のタイミングの時に―――。 だけど、最悪なのはそれだけじゃない。 (なっ……ど、どうして―――裸なんだよ……っ……本当に意味が分からな……っ……) と、心の中で毒づいてた最中―――ひとつ手がかりになりそうな事を思い出した。あのブランシェとかいう変態に強引に【愛の巣】とやらに連れて行かれようとした時だった気がする。 確か、『こんなものはワタシ達の愛の前では必要ない』などと言われながらメイド服を脱がされかけた――のだと思う。正直、倒れてしまってからの事は覚えていないし―――それよりも、今のこの最大級のピンチを切り抜ける事が重要だ。 「まったく―――我が息子よ。調子に乗りやすいブランシェと同様に……お主にも仕置きが必要なようだ。まあ、ブランシェは昔からああただから仕方ないとしても―――だ……」 グイッ…… 病み上がりだというのに、目の前の【父】であり【王】であるその男は―――俺の一糸纏わぬ無防備な尻が己の方に向くような体制に動かした。そして、おもむろに指を尻穴へと近付けてゆく。 グチュ、グチュ、ヌチュ____ 「ひ……っ……ひゃ……っ……!?」 「このようなハレンチな場所に低級サキュバスを飼い慣らし――あろうことか周りの輩を誘惑するなどと……まったく何と淫乱な子なのだ。少し指を入れただけで……こんなにもひく、ひくとさせるなど……スーリア―――いいや、アリスガワよ……おとなしく我が物となれ」 「ち、ちょ……あっ……ん……や、やめ……っ……」 その行為を愛撫として行っているのか、それとも俺の尻穴に埋まったままの低級サキュバスを取り出そうとして行っているのかは定かではないが___その巧みなテクニックに俺の腰はビク、ビクと律動し半開きとなった口からは涎が垂れ―――ひっきりなしに卑猥な喘ぎが漏れてしまう。もちろんペニスも熱を持ち、今にも欲望が爆発しかねない勢いでビクビクと震えて先走りの液がピュッピュと亀頭から漏れてしまっている。 (こ、このままじゃ……まず……い……っ……いくらミラージュとかいう訳が分からない異世界でも―――近親相姦だけは何とかして防がないと……っ……) と、頭一面がピンク色に染まったせいかズレまくって訳の分からない危機感に襲われてしまう反面―――目の前の【王であり父】という男から与えられる凄まじい快楽に身を委ねかけてしまっていた時だった。 バンッ…………!! ノックもせずに、扉が開き―――そして俺にとって見慣れた存在が部屋の中にずか、ずかと入ってきた。 そして【猫山】という冷酷無慈悲な男は、得意のバリトンヴォイスで淡々と我々に言うのだ。 「王様―――アリスガワは病人です。お楽しみは、もう少し後にして下さいませ」

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