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第13話
※ ※ ※
「おい、猫山!!今度こそ、どうして俺をこんな世界に連れてきたのか―――説明してもらうからな……っ……って、いってぇぇえ……頭が…っ……」
「まったく―――キミは相変わらずダイイチキュウにいた頃のようにキャン、キャンと喧しいな……兄であるミズリア様やネムリア様のように大人しく振る舞ったらどうだ?ましてや、あの後ミラージュの王であり父である【ミラーリア様】にも暴言を吐くなどと―――恐れ多いことだ。ミラーリア様はキミがこのミラージュに来るのを心待ちにしていたのだというのに―――」
「はぁ……っ……!?」
あれから、俺は急に部屋に乱入してきた【猫山】と二人きりになる事に成功した。それというのも、ミラージュでは【王であり父】でもある男から尻穴に指を突っ込まれ卑猥な水音を響かせながら愛撫され続けているという異常かつ気まずい雰囲気のせいでパニックに陥ってしまった俺があらゆる暴言を吐いてしまい―――傷ついた王がもう耐えきれん、といわんばかりに部屋から出て行ってしまったからだ。
(つーか……さっきも不思議に思ってたけど――この猫山の口振りから察すると――もしかしたら父、いや……あの王様は俺がダイイチキュウから来た存在だと最初から知ってるんじゃ……っ……)
「なんだ……まさか、今更気付いたのか。アリスガワ、キミは本当に愚鈍で……単純で―――だが、それでいて……魅―――」
「おい……っ……おいおい、ちょっと待ってくれよ!!王様は俺の正体を知ってたのはこの際目を瞑る!!だけど、何でお前は……俺をこんな所に連れてきたんだって聞いてるんだよ……変人なお前の事だから、どーせ王様に俺を連れて来てはどうでしょう、とか何とか言ったんだろ……きちんと説明してくれ!!」
俺が倒れた事により舞踏会は中止となり、すっかり日が落ちて城下町周辺が藍色の闇に包まれる時刻を迎えるミラージュ―――。
ぴったりと肩を寄り添い合う恋人達のように、橙色の月と翡翠色の月が藍色の空にぽっかりと浮かぶ光景が臨める。
その光景を臨めるのに調度よい位置である窓際に置かれた豪華な装飾を施された椅子に優雅に座りながら【猫山】は涼しい顔で夜のティータイムとやらを嗜んでいる。ふわり、とホットティーの湯気に漂いながら以前いた世界では感じた事のないくらい独特な甘い香りが俺の鼻を刺激してくる。
「ひっ……くしゅ……っ……くしゅ……くしゅんっ……っちん……」
その独特な甘い香りを嗅いだ途端、くしゃみが止まらない―――。
それと同時に体の火照りが止まらない―――。
「そうだな……キミも色々と知りたい事があるだろう。確かに私の説明不足でもある……ただし、教えてやるのは――ベッドの中でだけだ」
「ね、猫山……くしゅんっ……お、お願い……お、大人……しく……するからぁ……ミラージュの事――教えて……っ……い、言う通りにするから……あっ……せんせぇ……っ……」
ドサッ…………!!
体の強烈な火照りに耐えきれなかった俺は―――特に【猫山】から命令された訳でもないというのに、まるでリンゴのように顔を真っ赤に染めながらどんどんと服を脱いでいき、あろうことか自分からティータイムに勤しんでいた【猫山】の体を側にあるベッドへと押し倒してしまうのだった。
ホットティーが床にこぼれてしまい染みを作るのも気にならなくなる程に夢中で―――。
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