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第16話

その後俺と猫山の元に急に現れて、好き勝手言ってきただけでなく故郷だったダイイチキュウでは考えられないような手法で猫山を連れ去った赤黒い炎を纏った少年(見た目だけで判断するなら同じ年頃)は、そのまま自身も猫山同様に【炎の口】に吸い込まれていくようにして消え去ってしまった。 ぽつん、と俺一人だけが放置された部屋に――不快な笑い声が響き渡っていたのだけれど、それも赤黒い炎の纏った少年が消え去ると同時に聞こえなくなり__やがて静寂に包まれていくのだった。 ※ ※ ※ バンッ…………!! 「わっ……び、びっくりしたぁ……って__インキュバスをお尻に埋め込まれてるダイイチキュウ人か……そんなに焦って__どうかした?」 「おい、喧しいぞ……ダイイチキュウ人には扉を乱暴に開けないというルールーすら存在しないのか?まったく、ただでさえ意味不明な事ばかり起こっているというのに……。ダイイチキュウから訳の分からんヤツは来る、ネコン・ヤマン術師は行方不明になる、そして___今度は……これだ。おい、コイツはもしかして__貴様の知り合いなのではないか!?」 「うう~……ネムリアは眠い。なのに、天井から急にダイイチキュウニンゲンが現れて降ってきた……ネムリアの頭にあたった……痛い、痛い……っ__!!」 慌てて部屋から飛び出た俺は、赤い絨毯が敷き詰められメイドや執事が掃除している廊下まで戻ってくると、王宮内の玉座の間に三人兄弟がいると知らせてくれた可愛らしいエルフのメイドに礼を述べてから《玉座の間》へと早足で向かった。 そして、まさに今__気が動転していたせいでノックもせずに扉を勢いよく開けてしまったのだけれど、その途端に三人の目線が一斉に俺の方へ向く。 二男のミズリアは、ポカンとした顔つきで此方を向きつつ俺へと尋ね、三男であるネムリアは涙をポロポロと零して尚且つ目をショボつかせ__しきりに頭をさすっている。そして、長男であり粗暴な態度をとっているハイリアはいきなり《玉座の間》へと入ってきた俺をジロリとキツい目で睨み付けながら側にすがり付く弟のネムリアの頭を必死で撫でつつ宥めている。 「ね、猫山___いや、ネコン・ヤマン術師が……炎を纏った怪しげなヤツに……っ__」 連れ去られちまった、と慌てふためきながら説明しようとした俺だったけれど、ふと__ある光景が目に飛び込んできて一度言葉を詰まらせてしまう。 何故なら、ネムリアとそれを宥めているハイリアから少し離れた場所にダイイチキュウでの、元クラスメイト――《兎耳山》が横向きの状態でぐったりと倒れているからなのだった。

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