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第17話
「な、何____どうして……ダイイチキュウの矮小なニンゲンがこんな所に……っ__!?」
などと、二男のミズリアは怪訝そうに呟くが__それは、俺が聞きたい。
何故、急に空(というよりも王宮の天井)から元クラスメイトであり最後に見た時には、ダイイチキュウの学校の美術室にいた筈の兎耳山が学生服を着たままぐったりと横たわっているのか__そして、何故――最後に見た時には廃人のように異様な様子で尚且つ奇怪な銀色の兎耳を頭から生やしていた彼が元の学生の姿に戻っているのか__という疑問で俺の頭は埋め尽くされた。
「ネムリアは眠い___ダイイチキュウのニンゲン……どうでもいい。ハイリアにい……いっしょに__寝よう?」
「…………」
ふわぁ、と大きな口を開けて欠伸をしつつ僅かに涙ぐんだ目元を擦りつつ一番上の兄に甘えるネムリアと反対に、ハイリアはそんな弟の頭を多少乱暴な手つきで撫でつつ無言で兎耳山の姿を凝視する。
その顔つきは、神妙だ____。
「……って___おい、兎耳山!!お前――いったい何やって……っ……!?」
慌てて元クラスメイトの兎耳山へ駆け寄る俺。そして、そんな俺の様子を見て心の底から興味がないといわんばかりのネムリア以外の驚愕を含んだ視線が背中にグサグサと突き刺さる。まるで、針のむしろのようだった。
しかし、おそらくはハイリアやミズリアが抱いた以上の驚愕の事実が兎耳山のすぐ側まで駆け寄ってその身を抱えようと手を伸ばしかけた俺に襲いかかってきた。
「な……な……っ…………」
情けないが、間抜けな声しか出せなかった。
黒い長ズボンはきっちりと履いているものの、学生服の白いシャツの胸元がはだけ、その隙間からチラリと覗く兎耳山の両乳首にはよくアダルトビデオに出てくるような小型のピンクローターが貼り付けられていたのだ。
思わず興味本位からマジマジと見てしまったのだけれど、電動で操作する仕組みになっているようで__とりあえず、今は振動していない事だけは分かった。けれど、何故――元クラスメイトであり、普段だったらこんな卑猥な事をされたら暴力を使ってでも全力で阻止しそうなくらいに粗暴な兎耳山がこんな異様な状況にさらされているのかが全く分からない俺は唖然とするばかりだった。
(……って___どうして、こんな状況で勃起しかかってんだよ……こんな粗暴なヤツが卑猥な状態になってるからって……)
ぐったりと横たわっているものの、僅かに顔を赤く染めていて尚且つ荒い呼吸をしている兎耳山の様子を目の当たりにして__不覚にも勃起してしまった俺は慌てて周りにいる三人にバレないように勃起した股関を隠すようにして少しだえ身を捩った。
すると、何処からか__愉快で、愉快で堪らないといわんばかりの拍手が静寂に支配されていた部屋中に響き渡るのだった。
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