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第20話

「あ……っ…………」 「ん~……やっぱり、アリサちゃんもチカと同様に__ネコン・ヤマンにご執心のようだねぇ……まあ、彼は優秀な術師だし王宮にとっての所有物なのだから__いなくなったままでは困る。そこで、アリサちゃん――そして出来損ないの我が息子達……君らにネコン・ヤマンを探す旅に出て貰いたい。よし、この話はこれで終了――それじゃあ、アリサちゃん……おやすみ。我が出来損ないの息子達と共に__いい夜を過ごしてね?」 「ち、ちょっと__まだまだ話は終わって……ない……っ……」 困惑しきって状況を受け止めきれていない様子など、お構い無しだといわんばかりに《今は行方不明中の猫山》の姿をしていたミラージュの王は俺の耳元で好き勝手に囁き終えると__そのまま頬にチュッと口付けをしてから穏やかに微笑むとその場から姿を消してしまった。 聞きたい事は、山ほどあるというのに____。 「あの方に、色々と聞き出そうとしても無駄だよ。ええっと__とりあえずはアリスガワって呼べばいい?アリスガワは弟のスーリアのようで__スーリアではないんだもんね?」 「ミ、ミズリア……は__何か知っているのか?例えば、ミラージュの王の目的とか__あそこで倒れている兎耳__いや、ミト……の事とか……猫__いや、ネコン・ヤマン術師の居場所とか__チカとかいう少年の事とか……っ……」 急に背後から部屋に取り残されたミズリアに話しかけられ、慌ててそちらへと振り向いた。その直後、俺の目の前には予想すらしなかった意外な光景が広がっていたのだ。 「ミ、ミズリア……だよな?お、お前__さっきまではそんな格好じゃなかったのに……いつの間に――そんな人魚みたいな姿になっていたんだ!?」 「嫌だなあ、アリスガワったら__。ここはミラージュだよ?人間しかいないダイイチキュウならともかく……変な種族がいたっておかしくはないでしょ。まあ、ミズリア達の場合__呪いでこうなってるわけだけど……昼はエルフで夜は碌に王宮内すら歩けない人魚になる。それがお父さまがミズリアにかけた呪いだ__アリスガワ、このまま水場まで抱っこして連れてってくれる?そうしたら、色々__ミズリアが知ってる事を教えてあげてもいいよ?」 何故か、潤んだ瞳をミズリアから向けられて上目遣いで懇願されてしまった俺はとりあえず頭の中に数々浮かんでくる疑問を解消するべく__青白く発光する尾ひれのせいで歩けなくなってしまったミズリアに促されながら彼をお姫様抱っこしつつ水場へと向かうのだった。

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