21 / 23

第21話

※ ※ ※ 「はあ、やっぱり__水場は落ち着くな。それよりも、アリスガワもこっちに来なよ……そんなところで突っ立ってると間抜けに見えるよ?」 「い、いや____話しを聞くだけなら此処で突っ立ってても十分だろ?それに、その……いくらなんでも……は、裸になるのは……っ……」 あれから、ミズリアに案内されつつ辿り着いた水場の浴槽内でスイスイと優雅に泳ぎ回るミズリアから誘われると――ふいに、先程まで《玉座の間》でグッタリと横たわっていた兎耳山ことミトがダイイチキュウでいた時とは考えられないくらいに妖艶な姿を晒しながら苦し気に呻いていた事を思い出してしまった。 そのせいで無意識のうちに頬が火照ってしまい、自分からは見えないものの__おそらくは顔が真っ赤になってしまっているとだろう、と何となく察してしまう。 (ダイイチキュウでは横暴で苦手な奴だった兎耳山が、あんな厭らしい姿を晒すなんて……っ__しかも、こんなにドキドキしてるなんて……俺、変だ……っ……) 「アリスガワ__おかあさまの事を……心配してる?ミズリアが結界を張ってきたから、今のところは大丈夫。それに、いくら好奇心旺盛で横暴で__おかあさまに愛を抱いていないような自分勝手なお父さまでも……今夜は何もしないと思うよ」 「べ、別に__俺は兎耳山の事を心配なんかしてな……い……」 「____アリスガワは嘘が下手だね。かつて、ネコン・ヤマン術師が言っていた通りだよ……弟のスーリアも嘘をつくのが苦手だったから。でも、ミズリアはスーリアはスーリアとして、アリスガワはアリスガワとして接するから__これからハイリアお兄様と夜を共に過ごして何かを言われたとしても気にしないで。ハイリアお兄様はとっても優しい方だから――ただ素直になれないだけ……おかあさまの事、よろしく頼むよ?」 その後、俺は少し切なそうな表情を浮かべて此方を見つめてくるミズリアに根負けし、遠慮がちに服を脱ぐと__そのまま、プールみたいに真四角の浴槽へと身を沈ませた。 「あっ…………ん……っ____」 俺が思っていたよりも、遥かに気持ちがよく、色々と予想外の事が起きてしまった事からくる緊張と不安のせいで気張っていた心身が軽くなったおかげかは知らないけれどピンクがかったお湯に浸かった途端に力が抜けてしまい__変な声が出てしまった。 いや、変なのは___それだけではない。 (か、体が……熱い……っ……そ、それにこの湯に浸かった途端に……頭の中に……訳の分からない映像が浮かんでくる――ああ……駄目だ、ミズリアがいるのに……こ、こんな……こんな恥ずかしい事……するなんて……) まるで、この浴槽内の湯全体が意思を持っているかのように形状を変化させ、つい先程までは液体のようにサラサラしていたというのに徐々に粘り気のある湯へと変化して余りにも気持ちよくなり呆然としてしまっていた俺の体へと纏わりついてくる。まるで、ダイイチキュウに存在するゼリーが意思を持っていて体に纏わりついてくるような感覚といえば分かりやすいだろうか。 容赦なく襲ってくる熱さと途徹もないくらいに強烈な快感は――やがて、ギリギリまで保っていた理性を崩壊させてしまい____俺はあろう事か碌に互いの事を把握しきれていないような関係のミズリアの前で公開オナニーをしてしまうという恥を晒してしまうのだった。 「うわー……やっぱり人間って面白いんだね!!ねえねえ、呪われた人魚のミズリアにこんな姿見られて__しかも水中粘液魔物にいたぶられて……気持ち良さそうにしてるのって__どんな気分?みんなに教えてあげたいからアリスガワの素直な気持ち__言ってみてよ……今、頭の中に映ってるのは……おかあさま?それとも__ネコン・ヤマン術師?」 「あっ………おっ…………んんっ……い、いい……もっと……もっとしてくれ……ね……こやま……あっ……いく……っ……いくぅ……っ__!!」 少し離れた場所から此方をジーッと見つめめくるミズリアに散々煽られた上で、意思に反して桃色の膨れあがった乳首を己の手で弄んだり__または、勃起しきったペニスを反対側の手で擦ったりと公開オナニーに耽ってしまっていた俺はとうとう盛大に射精をし終えると、今まで起こった出来事に対してミズリアに数々の疑問を投げ掛けるという本来の目的をすっかり忘れ去ってしまい____いつの間にか意識を手放してしまうのだった。

ともだちにシェアしよう!