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第22話
※ ※ ※
「……っ___!?」
次に目を覚ました時、俺は全身を包み込む心地よい温かさを感じていた。その感覚はシーツに包まれるのとよく似ていたため、てっきりどこかの部屋のベッドの中でただ単に眠りについてしまっていただけだと脳内で勝手に思っていたのだが__徐々に寝ぼけた頭が覚醒していく内に、俺の思った事とは少し様子が違う事に気付いていく。
とりあえず、ベッドの中にいるのは間違いない。それに、脇にある窓から見える外の景色は真っ暗で赤い月灯りが照らしているため――今は夜だという事も何となく察する事が出来た。
しかし、隣にいて今まで(おそらく)共に眠りについていた謎の存在が目に飛び込んできた途端に俺は呆気にとられてジッと見入ってしまう。
「な、何だよ……こいつ――白い毛でフワフワで……凄く……凄く可愛いじゃないか……っ……」
ダイイチキュウ基準の成人男性程の大きさで、決して小さいとはいえない謎の白い毛を持つ生物を不覚にも可愛いと思ってしまったのは――俺が何よりも大好きな兎にソックリだったからだ。人間と兎を足して二で割ると――このような存在になるのだろうか、と思っている俺の事など気付きもしないソレは黒い小さな鼻をピクピクと動かしながら――まるで天使のように可愛らしい寝顔を此方へと晒してくる。
時々、頭から生やしている二つの垂れ耳がピクピクと動くのも俺の可愛さセンサーが反応しメロメロになってしまった理由だ。
そして、その俺の気持ちに反応するかのように尻穴に埋まったままの【インキュバス】が反応し――うね、うねと動き回る。
(や、やばい……何だか――変な気分に……っ……)
沸き上がる興奮を抑えきれずに、俺は何故かベッドから出ようという、この場を収めるのに最も適切であろう行動はせずに――隣で眠りこけて心地良さそうな表情を浮かべている【ウサギと人間みたいな生き物】にすがりつくようにして抱き付いてしまった。
その時___、
「あ、ネムリ……みちゃった__ハイリアおにいさまと……スーリア……イチャイチャしてる」
「え……っ___!?」
すぐ側にネムリがいた事に全く気付きもしなかった俺はニヤニヤと笑いながら現れた彼の言葉を聞いた途端、慌ててベッドから離れようとした。まさか、このウサギのように白くて可愛い寝顔を晒していた存在が冷酷で無慈悲そうな【ハイリア】だとは夢にも思っていなかったからだ。
しかし___、
「__スーリア……我が弟よ、愛して……る……っ」
まだ、寝ぼけたままのハイリアは急いでベッドから出ようとした俺の手を引き寄せ__そのまま強い力で押し倒されてしまうのだった。
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