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春の嵐 3

「ゆうちゃんおはよう」 「あ、おはよう」 「なんだかあんまり顔色よくないよ?寝不足?」 登校して教室に行くと幼馴染みのダイ(星川大地(ほしかわだいち))にそんなことを言われ、適当に大丈夫だと切り返す。 最近ちょっと寝付きが悪いのは当たってる。でもそんな顔に出るほどか? 「ならいいけど、何かあったら相談のるからね、あんまり考えすぎちゃダメだよ?」 「ああ……」 こいつには昔から全てお見通しで基本信用できるのはダイだけ。 ダイもこんなクズなオレでも変わらず接してくれる。 だから、こいつにだけは嘘はつけないし、つきたくないと思ってる。 優等生を絵に書いたようなヤツなんだよなぁ…… 「ゆうちゃん?……ゆうちゃん?」 「え?……なに?」 「ぼーとして、本当に大丈夫?」 「大丈夫だよ」 寝付きが悪いのもあるけど、昨日はいつもよりちょっと夜遊びが過ぎたのも原因の一つかも……なんて思っていたら、 「夜遊びも程々にね、とりあえず保険室で寝てきたら?」 ……案の定見破られていた。 * やっぱりダイには全てお見通しなんだな…… 苦笑しながら言われた通り教室を後にして保険室へと歩き出した。 もうすぐ呼び鈴が鳴るであろう時間帯だから廊下を歩く生徒は疎らだ。 そんな時に目に飛び込んできたのは遠くからものすごい勢いでこっちに向かって廊下を走る奴。 あれ?アイツ……どっかで見たこと…… そして、オレの横を駆け抜けて行った時に思い出した。 ……あの迷子の奴だ。 近くで見たそいつは思いの外色白でクリッとした目が印象的な整った顔をしていた。 くせっ毛の髪もほんのり茶色で全体的に色素が薄くてどっちかっていったら女寄りだし、可愛い系に入る。 なんだか、女みてーな顔してんだな。 それから保険室に着いてベッドに横になりながらも何故かそいつの顔が頭から離れなくて暫く思い出していた。 ────そして、それからオレはその迷子と度々遭遇することになる。

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