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春の嵐 8
それから気にしていると毎日結構な頻度でオレは相原に遭遇した。
朝もいつもよりちょっと遅めに登校すれば、寝癖を振り乱しながら必死に廊下を走る姿が見れる。
昼になると昼のチャイムと同時に購買にパンを買いに走る姿が見れる。
帰りは楽しそうに友人と帰る姿が見れる。
……と、まぁ、、、このオレが完全にストーカーみたいな日常を送ってるわけだが、こんな毎日も嫌いじゃない。
そして何より以前に比べたら学校に来るのが楽しくなった。
ただアイツの顔を見ているだけで、それだけで何故か気持ちが軽くなる。
なんなんだろうな、
この気持ち……
そして、その気持ちの意味がなんとなく判明する出来事は案外早くに訪れた────
*
『 相原……俺と付き合ってくれ』
放課後、生徒会の用事を済ませ、帰ろうとしていたら静まり返った廊下から聞こえて来たそんな声。
声のする方に気付かれないように歩いて行くと、知らない男子と困り果てた顔の相原が向かい合ってるのが見えた。
『 相原……何か言えよ』
『 いや……俺……そんな考えらねーし、男とか……』
『 ダメか?』
そこまで言うとその男が相原を強引に抱きしめていて、それに更に困り果てた相原はごめんとそいつを押し戻し、結局相原はそのまま走り去って行ってしまった。
あんな戸惑うアイツの顔初めてみた…
いつもは元気いっぱいで笑ってる顔が殆どなのに……
そんなことをふと思った時、ずっとモヤモヤしてた意味が少し分かった気がした。
オレが相原に抱いている感情て、もしかしたらこういうことなのか……
────────
──────
「…………ッ……」
そしてその日、知らない男に抱きしめられ戸惑う相原の顔が何故かずっと忘れられず、気付いたらその顔をオカズに抜いてしまった。
イく時にはアイツの顔を思い浮かべ、浅く息づく合間に名前を呼ぶと……
「…………ッ……な……ぎさ……ッ……」
たったそれだけのことなのに、身体中が熱くなりこの上ない興奮が襲った。
何故かわからない。
ただ、あの戸惑う顔がオレをありえないくらい興奮させたのだった────
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