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春霞 3

このままじゃ無意味に騒がれそうだったから、校舎の裏に連れてきたわけだが…… 「で、生徒会長が俺に何の用があるんですか?」 相原の一言にオレの頭の中は真っ白になった。 こいつ、オレのこと覚えてないのか? 確かに話したのは約一年前だし、それからはオレが一方的に見ていただけだから、そう言われてもおかしなくないのはわかってる。 でも……ちょっとは思い出せよ。 そんなモヤモヤの中、 「用は別にない」 そう口にしている自分がいて、そんなことを言うつもりじゃなかったと思ってもあとのまつり。 転がるように突っかかった物言いを繰り返してしまう。 「はぁ?用がないなら、なんでこんなとこ連れてくるんだよ!」 「渚が逃げるからだ」 そして、相原のそんな態度にだんだんと腹が立ってきたオレは気付いたら相原を名前で呼んでしまっていた。 「ってか、なんで生徒会長が俺の名前知ってんだよ!」 「おい……いい加減、その生徒会長って呼ぶのやめろよ」 「知るか!答えになってねーんだよ。」 軌道修正しようにもこいつは予想以上にめんどくさい性格をしているらしい。 素直そうに見えるのにな、なんつーか……何に付けても突っかかってくるんだよな…… そして、落ち着いて話すのは無理と判断したオレは強攻手段に切り替えることにした。 「……優人って呼べよ」 「はぁ?」 一応生徒会長にもなったし、オレも学校内では名が知れてる。 だからそれを利用して、少し強引なやり方だったけど命令するような口調でそう相原に告げた。 「オレの名前知ってんだろ?」 「名前と豆知識くらいは……」 「豆知識?なんだそれ。」 「…………。」 すると訳の分からないことをブツブツ言いながらも不貞腐れた態度は相変わらずで、 「まぁ、いい。これからは優人って呼べよ。」 そう押切るように無理やり話を終わりにしたら、相原が急に声を荒げてきた。 「だーかーらー!なんで今日初めて会ったヤツの事、下の名前で呼ばなきゃなんねーんだよ!!」 そのまま捲し立てるように文句を言ったと思ったら、今度は、帰ると言い出し歩きだそうとした。 それを必死に阻止しようとしたオレは、気付いたら相原の腕を掴み空いた手でネクタイを引っ張り引き寄せてしまった。 多分オレも必死だったんだと思う。 それに……今、帰らせるわけにはいかなかったから。

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