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第1―14話

「これは喧嘩なんかじゃなくて…」 計らずも桐嶋と羽鳥の声が重なる。 そして二人は同時に股間に指の感触を覚え、下を向く。 羽鳥の雄を包み隠そうとする小さな白い手。 真っ赤な吉野の顔。 羽鳥の胸に愛しさが込み上げる。 と、同時に。 急速に下半身に熱が集まっていく。 普段は吉野から羽鳥自身に触れてくることなど、殆ど無いからだ。 羽鳥は桐嶋の肩をぐいっと引き寄せると、何事か囁き、吉野を抱き上げミストサウナを物凄い早さで出て行った。 桐嶋も驚きと嬉しさに舞い上がっていた。 あの照れ屋で意地っ張りで素直じゃなくて甘え下手の横澤が、公共の場で自分から桐嶋自身に触れているのだ。 横澤は桐嶋の局部を隠したい一心で、性的な意味で触れている訳では無いだろうが、好きな相手の手に包まれて興奮するなという方が無理だ。 羽鳥達が出て行ったのも気付かないのか、真っ赤な顔で目をぎゅっと瞑って、桐嶋に張り付いている。 桐嶋の胸が愛しさで満たされる。 桐嶋がそっと横澤の頭を撫でる。 「横澤、サンキューな。 羽鳥達は出て行ったよ」 横澤がパッと目を見開く。 「そうか…」 ホッと息を吐く横澤に桐嶋がやさしく告げる。 「次はこれをどうにかしてもらわないとな」 「……は?」 桐嶋が自身を包む横澤の手を、上から自分の手で包む。 もうそこは硬く勃ち上がっている。 「わ、わ、わ…わあーッ」 横澤が桐嶋の雄から手を離し、後ろに仰け反る。 「横澤…」 桐嶋が横澤の真っ赤な顔を両手で包み、唇を重ねる。 ツーッと舌で唇をなぞられ、横澤が小さく口を開ける。 桐嶋の舌は難なく横澤の口腔に侵入し、柔らかく淫らに蠢く。 「んっ…ふ…んん…」 自分のものとは思えない甘い吐息が零れて、横澤は肩まで赤くなっていく。 桐嶋の片手が横澤の胸の突起を摘んできゅっと捻る。 刺激が腰を直撃し、横澤が身体をビクッと震わせる。 その動きで桐嶋の雄に自分の雄を擦り付けてしまうことになり、横澤は慌てて腰を引こうとするが、今度は桐嶋が擦り付けてくる。 甘く甘く続くキス。 横澤はもう顔を固定されていなくても、桐嶋から顔を背けること無くキスに溺れる。 その間にも桐嶋の両手は横澤の身体を弄り倒し、横澤自身も既に勃ち上がり、先端から蜜をプクリと零して硬い茎と桐嶋の手を濡らしている。 横澤が何分、いや何十分経ったのか分からなくなった頃、桐嶋の唇が離れる。 横澤の唇の端から零れる唾液を桐嶋がペロッと舐める。 「隆史…」 桐嶋の低い美声に横澤の鼓膜は溶けそうだ。 「もっとかわいがってやりたいが、俺が限界だ。 …いいか?」 横澤は夢見心地でコクリと頷く。 桐嶋がそっと横澤から離れたかと思うと、ミストサウナの隅からお洒落な籠を持ってきた。 「ミストが薔薇のアロマだし、ローションも薔薇がいいか? いやストロベリーも捨て難いな…」 突然真剣にブツブツ言い出した桐嶋に、横澤も段々平常心が戻って来る。 そして籠の中を覗いて見て、固まった。 その中にはゴムと思しき小さな正方形の袋と、どう見てもローションにしか見えないボトルが三本入っている。 「き…桐嶋さん…」 「お、横澤もリクエストあるか? まあお前は極薄でいいよな」 桐嶋はそう言うと横澤の雄にさっさとゴムを被せる。 「俺はどーすっかな…。 イボ付きってしたことねーし…正月だし、チャレンジしてみるか!」 わくわく顔の桐嶋に横澤が青ざめる。 イボ付き…!? 冗談だろ!? 絶対に絶対に嫌だあぁぁあ!!! こうなったら…し、仕方が無い… 「桐嶋さん…」 横澤が桐嶋の肩に両手をかける。 「どうした?横澤」 桐嶋がやさしく微笑む。 元から真っ赤な横澤だが、桐嶋の男前の蕩けるようなやさしい微笑みに、また頬が熱くなる。 「お、俺っ…桐嶋さんも超薄がい、いいな。 今年初めてのセ、セックスだし、桐嶋さんをなるべく近くに感じたいというか…」 桐嶋は一瞬ポカンとしていたかと思うと、次の瞬間、横澤を抱きしめた。 「隆史…!」 桐嶋が感動して横澤に熱くキスすると、テンション高く言った。 「お前がそんなこと言うなんて…! 流石ハッテ…健康ランドだな! よし、分かった。 俺も超薄にするから。 ローションはかわいい隆史に合わせて、やっぱりストロベリーにしよう!」 桐嶋は横澤の足を限界まで広げると、サクッと桐嶋自身にゴムを被せ、ローションを自身と手に満遍なく付けて、横澤の後孔に指を差し込む。 蕾を解すのももどかしく指で掻き回されたかと思うと、早々に指は引き抜かれ、硬く猛る肉棒で横澤は一気に貫かれる。 「アアッ…!」 薔薇のアロマとストロベリーのローションの合わさった甘ったるい香りに包まれて、横澤は思う。 これが最善だったんだ… 一方、桐嶋は。 籠の存在を教えてくれた羽鳥に心から感謝していたのだった。 園庭の天井は閉開できる透明な素材で覆われている。 冬真っ只中の今は、天井は閉まっているので暖かい。 それに加えて冬の澄んだ青空見えて、太陽は降り注ぎ雰囲気も最高だ。 木佐と雪名はそんな園庭の中にある打たせ湯にいた。 打たせ湯は円形になっていて、段々と落ちる湯の勢いが強くなっていく。 木佐は中くらいの強さの打たせ湯を浴びながら、雪名にバックで激しく抽挿を繰り返されている。 「あっ…ああん…いい…っ」 「俺も、最高っす」 雪名の掠れた美声が木佐の耳まで犯す。 喘ぎ声を上げながらも木佐は限界だった。 雪名はこの打たせ湯に来ると「イボ付き制覇しましょう!」とどこの国の王子様だよ!?とツッコミたくなる程のキラキラ笑顔で言った。 木佐は大好きなそのキラキラ笑顔に圧倒されて、思わず「うん」と言ってしまった。 イボ付きは5種類。 今は三回戦目。 しかも雪名はこの打たせ湯に打たれた木佐を「超かわいい!!」と絶賛していて、その上、光の加減で弱い打たせ湯で最初にセックスしている時、虹らしきものが見えて雪名の脳内のメーターは振り切れた。 そして少しずつ打たせ湯を強い段階にしながら、体位を変え、ゴムを変え、ローションを変え、ヤり続けているという訳だ。 「アーッ…だめっ…イくッ…ゆき、な…」 「木佐さ、ん…ッ」 そしてやって来る絶頂。 しゃがみこむ木佐を雪名が抱きとめる。 「木佐さん、大丈夫ですか」 「…大丈夫じゃねー…。 雪名、水」 「はい!」 雪名が木佐を打たせ湯の側のベンチに座らせ、二人してゴクゴクとミネラルウォーターを飲んで一息ついていると、大浴場から、 「ぎゃああああああ!!」 と叫び声がした。

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