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第98話※

「笹木、さん……」  待ちきれないのか航平から掠れた声が発せられた。笹木は何も言わずに航平の股間へと右手を伸ばす。寝巻き替わりのハーフパンツはすでに期待に膨れた航平自身が布地を持ち上げていた。薄い布の上からそれを握ると、航平が微かに息を呑む。そのままハーフパンツのウエストへと手をかけて下着と一緒にゆっくりと引き下ろすと、布地が一旦引っかかったあとで勢いよく航平の屹立が笹木の前に現れた。  大きく勃ち上がる熱塊と息を荒らげている航平の顔を交互に眺める。笹木は航平の屹立に向けて上体を屈めると、上目使いに航平を見上げて、 「……航平くん、こういうことは初めてなんだよね? だから僕が全てやってあげるから、航平くんは何もせずに感じていて……」  えっ、と航平が驚くのを他所に笹木は頭を期待に震える屹立へと下ろしていった。熱く篭った青い匂いが鼻腔に流れ込み、尖らせた舌先が小さな鈴口に光る雫に届こうとしたとき「笹木さん!」と鋭い声が響いて、笹木は強く航平に肩を引き上げられた。 「やめてください、そんなの」 「航平くん……?」 「何もせんでもええなんて……。そんなん、俺のしたいことと違う」  笹木の両肩に置かれた手にぐっと力が込められた。航平は真っ直ぐに笹木の瞳を覗き込むと、 「笹木さん、もしかして今回限りにするつもりなん? そんで、明日別れたらもう俺とは会わんつもり?」

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