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第99話※

 的確に自分の邪な考えを言い当てられて笹木はしらを切る余裕もない。なぜわかったのかという驚きと同時に、純也がいなくなってから過激に干渉を強めた両親の意向を悟るために、航平が他人の心の機微を鋭く嗅ぎ取るようになった経緯を思い出す。こんな子供騙しのような手法には、最初から彼は掛からないとわかっていたではないか。  航平は笹木を強く抱き寄せると、 「逃がさんよ笹木さん。俺は絶対に笹木さんから離れん。これからすることだって、俺ひとりが気持ちようなっても意味がない。別に俺はセックスなんてせんでもええ。こうやって好きな人と……。笹木さんと一緒におれたら、それだけで幸せなんじゃ」  幸せ――。  皮膚に薄く鳥肌が立つ。それに気がついた航平がさらに腕に力を入れた。  ああ、どうしよう。こんな年下の青年に言われたことが、こんなにも胸を締めつける喜びを与えてくれるなんて。 「――ごめん、航平くん……」  やばい。涙声になっている。それを航平に悟られたくなくて、笹木は航平の屹立を握りこんだ。はっと息をついた航平に、 「だけどこれは僕が君にしてあげたいんだ。……そして君も僕にして欲しい」  航平が耳まで赤くなっている。笹木はそのさまに笑みを零すとまた頭を下げて、航平の性器をゆっくりと口に含んだ。

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