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第101話※

「……ぁっ、ふっ、はあぁ……。こうへい……くっ」  硬くしこった右の乳首を強く舐め回される。時おり、ちゅうっ、と幼子のように吸い上げられて乳首の色が赤く染まると、今度は左も同様に口に含まれた。そのあいだにもふたりの熱を孕んだ昂ぶりは包まれた手に、そして互いで刺激し合って、蕩けるような快感が指の先まで拡がっていく。  童貞だなんて嘘じゃないのかと疑うほど、航平の手は、唇は、体の敏感な部分を責め立てて笹木を翻弄した。 (いや違う。きっと彼だから、体のどこを触られても感じてしまうんだ……)  純也の愛撫はいい意味で的確ですぐに夢中になれた。だがどこか型に当てはめた感じがしたのも否めなかった。対して航平の今の手の動きは、自分の欲望の赴くままに笹木を知ろうとしている気がする。そのぎこちなくも懸命なさまに、笹木は喉を仰け反らせて小さな喘ぎを繰り返した。  笹木の花茎に添えられた航平の屹立が新たな熱を帯びて大きくなった。はあはあ、と吐息を零して航平は、 「笹木さん、また我慢……、できんくなってきた。もう、()れても、……ええ?」  切羽詰って懇願する航平から噎せ返るような雄の香りが流れてきた。こんなに余裕のない航平の顔は初めて見る。いや、笹木だってもう余裕なんて無い。その証拠に笹木は何度も頷いて、花茎を握っていた航平の手首を掴むと自分の綻びかけた後蕾へとその手を導いた。

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