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第105話※

 航平が大きな体を笹木に重ねる。彼も呼吸を整えようと粗い息を繰り返している。汗ばんだ肌の温もりと掛かる重さがこんなにも優しいなんて初めて気がついた。 (ああ……、ありがとう。航平くん……)  口に出すと年甲斐もなく泣きそうだから、心の中でそっと唱えた。徐々に呼吸が整って互いの熱の余韻に浸っていると、また笹木の後蕾の奥の航平がむくりと存在を増した。 「笹木さん、あの……、もう一回、したい」  おずおずと航平が笹木に願い出る。そのさまに笹木は少しの驚きと笑いを零す。 (やっぱり若いな)  航平が笹木の胸に預けていた頬を離すと、瞳を覗き込んできた。そして、 「だめ?」  ねだるその顔は十五のころの少年の面影が垣間見えた。笹木は手を伸ばし汗で剥がれそうになっている航平の頬の絆創膏を押さえて、それを柔らかく撫でたあと、 「いいよ、何度でも。どちらかが眠くなるまで、ずっと……」  航平に優しい笑顔を向けると、笹木は両手を拡げて愛おしい青年をしっかりと抱きしめた。

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