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第4話
「あー、美味い。俺、奥寺さんの卵サンド好き。塩加減がちょうどいいやつ」
「マヨネーズが美味しいんだ。ちょっと高くて、下元には嫌な顔されてる」
「店長、ケチだな」
とりとめのない会話をしていると、奥寺が何度も笑ってくれるのが嬉しかった。待ってくれていたときの疲れた顔が、少しでも軽くなっていて、こんな風に自分が役に立てるなら何でもするのに、と尊はそっと微笑む。思いのほか、この恋に溺れている。
「それで、次は、何だったかな」
「ん、次、十五歳だっけ。中学三年か高校一年。奥寺さん、何する?」
「そうだな――野球を見に行きたい。球場に」
まったく得意ではなくてもやっぱり野球なんだ、と吹き出すと奥寺の大きな手が尊の髪をぐしゃぐしゃとかき乱す。頭皮に伝わる熱がくすぐったくて、嬉しさに目を細める。奥寺も少しは幸せな気持ちになってくれてたらいいなと、強く思った。
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