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第7話

◆  仕事をずる休みしたのは初めてだった。下元には熱が出たと嘘をついてなんとかもぎ取った休みを、尊はベッドの中で頭を抱えて過ごしていた。 「はー、俺、仕事どうすんだよ」  昨日はやはり酔いの勢いもあったのだろう。職場が同じなのだということをすっかり失念していたのだ。 「どんな顔してりゃいいんだ、俺は」  きっと奥寺は優しいから何でもない顔をしてくれるだろうが、そんな風に気を使わせるのも嫌だし、なにより尊が普通に辛い。自分でもこんなに好きになっているなど思わなかったのが原因だろう。 「奥寺さんが可愛くて格好いいからいけないんだ」  無茶苦茶な八つ当たりをしながら、ぼんやりとスマホに手を伸ばすと、同僚の有巣から急に休んだことへの苦情と病気へのねぎらいメールが来ていた。  ――この店、好きだったんだけどな。  最悪、辞めることも考えなければならないと思いつつ眠りについた。  目が覚めたのはインターホンが鳴り響いたときだった。寝ぼけた頭では今がどういう状況だったか思い出せず、  ――え、今日休みだっけ? 今何時だ?  ぼんやりとしたままで玄関の扉を開き、途端に目が覚めた。  そこには神妙な顔をした奥寺が立っていたからだ。 「えっ」 「具合はどうだ?」

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