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第3話
お洒落な内装と間接照明がすごくいい雰囲気の店内は金曜ということもあってカップルで溢れてる。
運良く待たずに入ることが出来て店の奥のカップルシートみたいな席に案内された。
『へぇ…いい感じじゃん。
コウ先輩にしちゃ上出来だな。』
『でしょでしょ?
この間雑誌で見てすっごく気になってたんだよね。』
『よしっ、じゃんじゃん料理頼もうぜ!』
『おまえちょっと遠慮しろよ…。』
カップルシートだから海音 と隣り合わせに座っているんだけど…それにしても周りはほんとにカップルばっかりだ。
一緒にメニューを選びながらふと顔を上げると、端正な海音 の横顔が目の前にあって一瞬ドキリと心臓が音を立てる。
キリリと男らしい眉。
伏せられた目の縁を覆う漆黒の睫毛が瞬きする度にふるりと揺れる。
あー…マジ綺麗…
ギリシャの彫刻みたいだなぁ…。
なんとなく見惚れてると俺の視線に気付いた海音 と目が合った。
『…何?
ジロジロ見んなよ。』
『あ、いや…///
こうしてみると海音 ってやっぱカッコいいなって思って。』
『はぁ?』
『な、なんだよ!
褒めてるんだろ?!』
怪訝そうに眉を潜めた海音 に、なんかすっごく照れ臭くなって慌ててそう言うと、彼はしばらくじっと俺の顔を見つめた後、ふぅ…と小さくため息を吐いた。
『…ありがと。
あんたもな。』
『えっ、あっ?』
今の…褒められたのか…な…?
もう一度海音 の顔を見たけど、もうその目はメニューへと伏せられていて彼の感情を読み取る事は出来なかった。
『うわぁーっ!
なにこれ、めっちゃ美味しい!』
運ばれてきた料理はどれもこれもめっちゃ美味しいしワインも値段の割りにいいのが揃ってて…。
この店当たりだったねって。
2人で盛り上がってついつい俺もいつもより飲み過ぎちゃった。
酔いが回るにつれ頭がふわふわして…心配そうに見てる海音 の顔がなんか可愛くて。
んーっ…
なんだか気分サイコ~っ♪
『おい、大丈夫?
飲みすぎだよコウ先輩。』
『らいじょうぶ~楽しいよ~♡♡♡
それにしてもカップルばっかだよねっ。
海音 っていっつも俺とご飯食べてるけど彼女とかいないのぉっ~?』
『別にいないし、欲しくないし。』
『えーっ!もったいないっ!
海音 は社内でも女の子にすっごい人気なのにぃ~っ!
冷たいから近寄りがたいみたいだけどさ、みんな隠れてキャーキャー言ってるよぉ〜』
『女なんて面倒臭いだけだよ。
いらね。』
不愉快そうな顔で吐き捨てるようにそう言う海音
くぅーっ…カッコいい!
俺もそれ、一度でいいから言ってみたい!
『さすが海音 !
めっちゃカッコいい!
俺なんて顔だけの残念男なんて言われて彼女もできやしないのにぃ~』
『は?知らないだけだろ…あんただって裏でけっこう…』
『そうだ!彼女いらないから海音 が恋人になってよ♡
俺達けっこうお似合いだと思うんだよねぇ~』
『はあぁ?』
『ねね、いいでしょ?
俺、けっこう尽くすタイプだよ?
どお?今ならお買い得だよっww』
『バーゲンセールかよ…』
『あは、海音 限定のセールだよ。
買って買って〜♡』
『…いいの?』
酔っ払った勢いでふざけてそんな事を言ってみたら俺の冗談に珍しく海音 も乗ってきた。
『いいよいいよ♡
ってか、俺の恋人になってくれるのぉ?』
『…いいよ。』
おお?
お酒のせいか、今日の海音 はノリがいいかも。
なんだかいつもより機嫌のいいあいつに俺もテンション上がってきて。
他のカップルの真似して肩を抱き寄せたり、料理を食べさせあったりしてはしゃいでるうちにどんどん酔いが回っちゃって…。
『俺の海音 ーっ好きだぞぉ〜!
愛してるよぉ~♡♡♡』
『はいはい、もうわかったから静かにしろって…。
コウ先輩飲み過ぎだよ。ほら、帰るぞ』
テンションMAXで大騒ぎしてる内に海音 にタクシーに乗せられてそのまま家まで強制的に送られてしまった。
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