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第8話

『何してるの?入ってよ。 ちょっと散らかってるけど。』 家に着いても玄関口で躊躇してる海音をさり気なくそう促すと、下を向いたままおずおずと靴を脱いでリビングへ向かって来る。 『そんなに緊張すんなよ。 昨日も来たじゃん。』 『き、昨日と今日じゃ状況が違うだろっ…! おっ俺にも心の準備ってもんが…』 『ぷはっ…お前ほんと可愛いわ。』 『〜〜〜っ///』 真っ赤な顔で睨みつけてくる海音が可愛くてチュッと額にキスをすると、ぷしゅぅっとまるで空気が(しぼ)んだ風船みたいに力が抜けて大人しくなった。 『先にシャワー浴びておいでよ。 着替え出しといてあげるから。』 コクコクと頷いてシャワールームに向かう後ろ姿を確認すると、俺はとりあえずリビングを簡単に片付けてベッドルームへ。 朝起きた時のままのクシャクシャになったシーツなんかを整えながらこの後の展開について頭を巡らせる。 …勢いで泊まってけなんて言っちゃったけど。 この状況はやっぱり俺達SEXとか…するん…だよね? ……………。 男なんて抱いたこと無いんだけど…大丈夫なのかな俺。 そもそも男とSEXする日が来るなんて考えた事も無かったよ…いや、普通無いか…無いよな?無いよ。 男同士がケツを使う事くらいの知識はあるけど、それって気持ちいいんだろか? それ以前に俺のチンコ、ちゃんと勃起するのか? 頭の中にいっぱいハテナ???を浮かべつつも、自分の中に海音を抱かないという選択肢が無いことに気付いて苦笑いする。 …ま、いっか。 そん時はそん時だ。 なるようにしかならないだろ…。 リビングに戻るとシャワーを終えて俺のスエットに着替えた海音が所在なさそうに立ち尽くしている。 『コウ先輩…』 『スッキリした? 俺もシャワー浴びて来るからテキトーにしててね。 冷蔵庫にペットボトル入ってるから好きに飲んで。』 『は…い…』 モジモジしてる海音を残して俺もいつもより念入りにシャワーを浴びてリビングに戻る。 姿が見えないからベッドルームをのぞくと大きな身体でちょこん、とベッドに腰掛けている。 『ちゃんと髪も乾かしたの?』 『ん…』 『こっちおいで。』 俺も隣に腰を下ろして海音の肩を抱き寄せると、緊張しているのかガチガチに固まったまま顔を伏せてこちらを見てもくれない。 途端にその場に流れる気持ち悪い沈黙…。 き、気まずいっ…… え、っと…ここからどうしたらいいんだ? 重苦しい雰囲気にどうしていいのかわからず黙り込んでいると、沈黙を破って海音が口を開いた。 『無理しなくていいよコウ先輩。』 『へ?なんで?』 『コウ先輩、男はやっぱり抵抗あるんだろ?』 『うーん…まあ経験無いし戸惑ってはいるけど…』 『女は経験あるの?』 『そりゃ人並みには…。 大学卒業するまではそこそこモテてたし長続きしないだけで彼女もいたからね。』 『………。』 『海音も少しくらいはあるんだろ?』 『…無い。』 『ええっ?!』 吐き出された言葉に驚いて思わず海音の方を見ると恥ずかしそうに(うつむ)く横顔があった。 『な、無いのっ? まさかまだ童貞とか…』 『そのまさかだけど。』 えーーーーっ! 『海音…』 『俺、小さい時から女の子に全然興味持てなくてさ。 好きになるのも男ばっかだからそもそも付き合うとかも無かったし。 たまに男でも大丈夫って奴がいても、俺は見た目こんなんだしタチだとしか思って貰えなくて…。 ネコしか寄ってこないんだけど、俺もそっち側だからいつも上手くいかないんだ。』 『へ、へえ〜…』 タチとかネコとかよくわかんないけど、海音は抱かれたい派ってことか。 良かった…さすがに俺もツッ込まれるのは勘弁だからむしろその方がありがたいよ。 『俺はコウ先輩が抱いてきた女みたいに可愛くも柔らかくも無いし…。 だから無理しなくていいよ。 俺のこと好きって言ってくれただけでもすげぇ嬉しかった…だから…』 『あ……』 (うつむ)いたままキュッと唇を噛んだ海音に胸がきゅんって締め付けられて… 思わず腕を引き寄せるとそのままベッドに押し倒した。 『よくわかんないけどとりあえずヤってみなきゃわかんないよ。 俺は海音が好きだけど男は初めてだし正直どこまでヤれるかわかんないけど…』 『………。』 『少なくとも今俺は海音のこと可愛いと思ってるし特に抵抗も無いよ。』 『後悔しない…?』 『さあ…? それは海音次第でしょ。』 『で、でも…』 『もう、うるさいよ』 まだ何か言いたげな唇をキスで塞いだ。 舌を絡めとるようにして口腔を掻き回すと強張っていた海音の身体が徐々に緩んで荒い息が漏れ始める。 スエットの上だけ剥ぎ取ると自分も脱ぎ捨てて肌と肌を合わせて抱き合った。 『海音…綺麗だね。』 綺麗に筋肉が付いた身体はまるで彫刻のように均整が取れていて男の俺から見ても美しいと思える程に(なま)めかしく間接照明の中に浮かび上がる。 スーツの時のがっしりとした印象とは違っていて意外と細身な海音の身体は触れると思いのほか柔らかくてしっとりと手に馴染むようだった。 どうやって進めていけばいいか分からないから、とりあえずキスをしながら女の子にするみたいに腕に添えていた右手をゆっくり胸へと滑らせる。 『んっ…ん、あ…』 吐息とともにピクリ、と身体が小さく反応する。 薄いピンク色をした胸の飾りを指で摘むと、そこはぷくりと膨らんでいてゾクゾクと身体の奥が騒ぎ出す。 乳首…勃ってる 男でもここ、ちゃんと感じるんだね 『海音…気持ちいいの?』 耳元でそう囁くと返事の代わりに背中に回った手にギュッと力が込められた。 上手く進めている事に気を良くして、俺は唇を首筋に移して舐めるように舌を這わせていく。 手はそのまま休めずに胸の敏感な部分を摘み擦り上げる。 尖った先を潰すように指先に力を入れるとその度にビクビクと身体が快感に震えて刹那に顔を歪ませる。 『あっ…、ふ…、んっ…んん…』 手の甲を口に当てて声を出さないように必死に快感に耐えているようだけど、スエットのズボンが分かりやすく膨らんで三角形を形作りその先端がジクジクと先走りで黒いシミを浮かび上がらせている。 うっわ…エロ……… なんだよこれ…すっげえ興奮する。 今まで感じたことのない抑揚が体の奥から湧き上がって来る。 『お前、けっこうヤラシー身体してんのな…』 『なっ…/// あんま見んなよっ…!』 『なんで? すっげ興奮するよ…。 ねね、もっと見たい…下も脱がすね?』 『あっ…/// 待っ、やめろって…!』 抵抗する海音を抑え付けて下着ごとズボンを剥ぎ取った。 ブルリと勢い良く顔を出した海音自身を改めて凝視する。 けっこうな質感のそれは腹に付きそうなくらい硬く反り返って…先端からトロトロと蜜を零し薄明かりの中で厭らしく光を放っていた。 正直、無理かもしれないと思っていた。 いくら海音の事が好きだと自覚したところで自分と同じモノがぶら下がっているのを目にしたらさすがに萎えるだろうと考えていたからだ。 でも、今こうしてそれを目の当たりにしていても気持ちが萎えるどころか(むし)ろ早く海音を自分のモノにしてしまいたいという欲望が俺の頭を支配する。 『コウ先輩…無理しないでよ… 今日は全部しなくてもいいからさ…』 『なんで? 無理なんてしてないってば…ほら。』 申し訳なさそうに俺を見上げる海音の手を取って、同じ様に硬く勃ち上がった俺の昂まりへと導いてやる。 『…あ///』 『ね? 俺もめっちゃ興奮してるから。 先に進ませて?』 『ん……///』 嬉しそうに笑う海音にもう一度口付けると、その熱く滾る自身を手に取り緩急を付けて上下に扱き始める。 『あっ…あ、ァアッ…やっ、ぅふうっ…』 手を動かす度に彼の昂まりは質量を増し先端からコプコプと透明な液を滴らせる。 剥き出しになったその場所に指を絡ませて窪みの部分からカリの(くび)れの 所までをヌメリを使ってグリグリと刺激してやると悲鳴の様な声を上げて身体を(よじ)った。 『うっ…あ、んっ…それっダメぇっ… 出ちゃうよ…俺出ちゃうって…』 『気持ちいいの? でもダメだよ…まだ始めたばっかじゃん。』 『だってっ…! 俺経験無い…し…こんなの…初めてだ…もっ… やっ…ダメ、も…イ…ク、イクっ…あああっ…!』 ワザと強めに(くび)れを引っ掻いてやると、海音は我慢できずにビュクビュクと自分の腹に真っ白な欲望を吐き出した。

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