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【見夏編】第3話
* * *
「………んっ……、だめ、………もっと強くしてっ……」
「だって、先生こうやって優しく焦らしてあげた方が感じやすいでしょ?」 「……ち……がう、……ちがうから…ぁ……………早く」
「先生の身体、知り尽くしてるのは俺だけだよ」
擦る力が強くなるにつれ、ガクガクと腰が揺れ、自分でも高いと思うくらいの声を漏らす。
──早くイきなよ。
そう言われてる気がして、俺は北城の手の内で精を吐いた。
昨日もしたせいで精液はサラサラで、北城はぺろっとそれを舐めて、にやっと俺に向かって微笑む。
「ほらね」
これじゃあどちらが教師なのか分からない。
こうやって夜俺の部屋で抱き合うことで、俺は償われている。
形で表された償いは、俺の中で膨れ上がって割れるみたいに、すぐに果ててまた欲しがってしまうもの。
嫌悪感が無いならそれでもいいと思った。
お互いがそれで保てているならば、償いにはなってる……きっと。
そうでないならば、狂ってしまいそうで……怖い。
「ゴム持ってきてないや……生でいい?」
「……ゆびっ!ゆび………突っ込みながら………言うなっ………!!」
「んー……まあさっきローション使ったし、ちょっと痛いくらいなんだけど」
「………はなし、………きけっ……………っ、あっ……!」
問答無用で北城は俺の中に突っ込んで、ゆらゆらと腰を揺らしていく。
見た目とそぐわない巨根は熱で身体をどろどろにするには十分で、何もかもを忘れさせてくれるくらい、好き。
北城は無理矢理が多いから、最初は戸惑った。
けどその横暴さで救われたことも確かなことだった。
体温の高さで、じんわりと汗が浮かぶ。
入り口と近いようで近くない場所を、彼の先端で激しく擦られるほど、ぐちゃぐちゃになって敏感になっていく。
生理的反応で腰が大きく反り返る。
そのたびに北城はどこか満足げに微笑んで、確かめるように口を大きく割るように、深い深いキスを落とすのだ。
「………んっ………んんっ…!!ぁあ……………………っ……」
じゅっ、と唾液を吸われたような音が響き、ぎゅっと胸を掴まれるような感覚に陥る。
「ねぇ先生、やっぱりキス好きでしょ??そうだよね??
さっきよりぱんぱんに勃起してるよ??」
「………っ………やら…ぁ………………はげしっ………」
自分から激しくしてくれって望んだくせに。
北城はキスはたくさんするのに、キスマークは1つもつけない。
それが関係の薄さを改めて示しているようで、どこか切ない。
学校で会えば先生生徒の癖に、どうしてか夜の印象が強い。
なんでだろう……?
「………っ、くっ…………せんせ、出すよ??」
「………─────うん、……うん…………お願い……………………」
北城の精液が俺の中をいっぱいに満たしたあと、目の前がチカチカして、そのまま眠りに落ちていく。
気持ちよくてふわふわ、激しくした後にはこうやってすぐに眠ってしまう。
眠ったのではなく意識を飛ばしたのは分かっているけれど、いつもこうなってしまうから、彼は睡眠導入剤だ。
なあ北城。
俺はおまえとの行為は、好きだよ。
そこに愛がなくても。
なあ北城。
お前は……どう思ってる………??
* * *
昔もこんな風にめちゃくちゃになって、意識を飛ばして、訳がわからなくなるくらいおかしくなった。
でも北城とのこれとあれでは違う、人が違うというのもあれば、感覚だって違う。
まるで神様が引き合わせたような偶然の相性。
──…同じ血が通ってるのには、信じられないくらいぞっとするが。
「先生、大丈夫?」
「……北城…?」
──…ああ、俺、いつのまにか目覚めてたんだ。
目覚めると、夢を見る前の自分を思い出して、ひたすらに壊れるような虚しさが残った。この関係が、いつまで続くのだろう。
バレることもなければ、俺のトラウマだって拭えず、ずるずるこうやって引き摺ってる。
関係も、セックスも……それ以外も。
北城は何を望んでいるのだろう。
俺とセックスをして、俺と仲良くして……何も得をすることはない。
償いの為にしていることは分かってるつもりだけど、それは自己満足であって、一方的な思いだとしたら俺は……。
やはり、死んでもいいのではないだろうか。
「先生、暗い顔してる」
「……くすぐったい」
「あはは。……ごめんね?
……でも笑って欲しいな、お願い」
ふと北城が悲しげな声をぽろっと漏らし、流れで俺は笑う。
今まで聞いたことの無い消極的で、心配になりそうな雰囲気を含む。
笑うと北城も笑って俺を抱き締める、それはまるで俺に甘える子供のようで、ちょっとかわいい。
「うん。やっぱり先生は笑った方がいい」
「……お世辞でも、ありがとう」
「お世辞じゃないよ。
だって先生の笑った顔かわいいもん」
「嘘つき……北城変わってる」
他愛の無い会話を幾度も繰り返すうちに、いつの間にか朝になってるのはいつものこと。
今日の朝は土曜日で俺も北城も休みだから、ゆっくり休めることができる上に、遊ぶことができる。
でも今週は珍しく北城の方から誘われた。
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