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【見夏編】第7話

* * * そんな二人の様子を、立ち入り禁止の屋上から見上げる青年が一人。 虚ろで寂しげな表情は北城を思わせるが、彼の場合は前衛的に出ているのだ。 溜め息を吐きそのまま座り込むようにして、ぐったりと項垂れる……その様子は誰から見ても異様だった。 「……くっそ、立ちっぱなしでここまでブランクが……」 息を乱しながらふらふらと立ち上がりそのまま屋上を出る彼の元に、一人の教師が駆けつける……養護教論だ。 その人の胸に飛び付くかのように抱き締めると、そのまま意識は落ち、ポケットに入れていたはずのアンクレットが……落ちた。 ──保健室に眠る華。 人は彼をそんな風に言う。 そして歴代アンクレットの保持者であり、最大の隠し場所であり、本人の願いでもあるのだ。 ──お願い、誰もこのアンクレットを見つけないで。 そうして今宵も華は、静かに眠る。 * * * 「占いコーナー…?」 「そうそう、無料でやってるんだ。 結構当たるから先生もやってみてよ」 どうやらカフェに併設された占いコーナーが、北城の担当する場所らしい。 北城のセンスが光ってるのか、全体的にミステリアスかつ豪華で、すでに併設であれ行列を成していた。 やっと俺達に順番が来て、占いをしてもらおうと思っていたのだが、なんと占い師は……秋斗であった。 「理人、絶対来ると思った」 「……なんで占い師やってるんだ?」 「……暇だから?」 ──そういえばこいつ、占いが趣味だったんだっけ。 俺も何度か試しにやってもらったことがある。 じゃあ仁科が秋斗を探せなかったのもこれが原因か……後で言っておこう。 「相馬先生、見夏先生の恋愛運占ってよ」 「北城……!?」 「恋人欲しそうだったじゃん。 だってあのとき『恋人か……』って」 「わー!わー!やめろ!!」 まあ恋愛運はちょっと興味があるけど……北城、余計なことは言わないでくれ……。 秋斗が今まで見たことの無いような笑みを浮かべてるから……。 「もし理人に好きな人が出来たら、応援するからな」 「恋人が欲しいって思ってる大前提じゃん……」 そんなこんなで占いはどんどん進んでいき、その手際の早さに圧巻されるうちに、ついに結果が出た。 秋斗の占いの的中率は身をもって知ってるし、今までこんなこと占ってもらってないから、ドキドキする。 占いは一種のアドバイス的なものだと秋斗は言っていたのだけど、正直それが通用しないのが彼だから。 「想ってるのか想われてるのか分からないけど、今のお前には絶対的に片想いが含まれてる。 そしてその恋は、割りと苦労するから避けた方がいいけど、立ち向かってもいい」 ……片想い。 まるで当てはまるかのように胸がずきんと痛む、違う、俺は北城の事が好きじゃない。 けどなぜ彼のことを考えたのか分からない、だけど、正直この占いが当たってもいいなって感じた。 恋ってちょっと……素敵だから。 「理人はくよくよする部分があるから避けると思うけど」 「へー……先生そんなところがあるんだ」 「……」 そう言った秋斗の目には、あからさまに北城に向けたものが写ってるような気がした。 そういえば、北城は前に秋斗に憎悪の目を浮かべていたが……普通に接しているのか。 なにはともあれ二人の間に何かあったことをは確かだ、俺は何かを察したのか、隣のクラスの出店に行きたいと北城に言う。 秋斗にお礼を言って、そそくさに退散した俺はほっとし、胸を撫で下ろす。 「隣のクラス、お化け屋敷じゃん」 「……え?」 ……選択を謝ったと悟る内は。

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