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【見夏編】第14話

「俺のせいてまた夕陽くんが傷ついたら怖いです、だけど」 その目には涙が静かに伝い、落ちていく。 なのにどこかその涙には意味が無いように思えて、本当は笑いたいんだと感じる。 こんな悲しい状況なんて、嫌だから。 「ちゃんと思いを伝えて、離れたい……」 青空に雲がかかっていき、仄かに照らされた光がまるで二人を表してるようで……。 ひたすらに捕まえたくなる。 本当の気持ちを隠す俺たちは酷く似ていて、ちょっとしたことですぐに揺らいでしまいそう。 どうやったらこの想いが、伝わるのかな? いや、伝わったら駄目なのに──…。 「百田くん言ってましたよ。 見夏先生と仲良しで大好きって。 だから俺、先生のこと羨ましいです」 「え、仁科……北城と仲いいのか?」 「はい。 仲直りも百田くんが背中を押してくれたんですよ」 そして仁科がアンクレットを見せる。 それは確かにジンクスの黒ユリのアンクレットだ。 【永遠】。 もしかして北城、お前、秋斗と仁科の為にアンクレットを探した訳じゃなくて──…。 「好きな人が友達でもいいよねってなって、探してくれたんですよ。 でも逞が見つけたようにしたいって言ってわざと落としたんです」 ──そんな百田くんに愛される見夏先生は羨ましい……。 とくんと胸が高鳴る。 俺、……もしかして勘違いしてたのかも。 いや寧ろこれが勘違いならば、めちゃくちゃ嬉しいどころか、きっと跳び跳ねる。 失恋したわけじゃなかったんだ……。 けど……アンクレットを欲しがってたならきっと──…。 「仁科、お前本当は仲直りじゃなく友達に戻りたいんじゃないか?」 「……」 「少なくとも俺にはそう見える。 後悔しないうちに、本当に思ってること、口に出してみなきゃ始まらない」 ジンクスの内容は有名だから誰でも知ってる。 だからこそその永遠に、俺のように、すがりたいんじゃないのか? 北城が頑張って探したあのアンクレットの意味……捨てちゃダメだよ、仁科。 俺が許さない。 「友達に戻れると思いますか……?」 消極的に彼は呟く。 戻れるよ、だって、きっと時任だってどこか我慢してる。 自分を抑えつけちゃつまらないよ。

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