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【見夏編】第15話
「……その答えは、案外すぐ近くにあると思うよ?」
「え?」
ベンチの近くにある柱の近くに、時任は隠れていた。
目が合うとばつが悪いように俯く。
やっぱり二人は思いあえる、一生の友達だからこそ、気になったんだと思う。
「……別に仲直りなんてそんなこと」
ばか。
……目、潤んでるよ──夕陽。
「だって俺たちやり直せるわけない……」
夕陽も夕陽で諦めないで、ほら。
仁科がお前のところまで走ってる……今度こそ優しい言葉を掛けてやれ。
教師として、そう願ってる。
夕陽の先生として───……。
仁科は夕陽をぎゅっと抱き締めると、泣きじゃくりながら叫ぶように言う。
「夕陽くんありがと……あの時俺、ほんとはすっごく、すっごく、すっごく嬉しかった……」
感謝の言葉──…本当の気持ち。
「あの時は責めてごめんなさい……。
苦しかったよね……辛かったよね。
もう一人にはしないから……」
その瞬間、夕陽の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
根は素直だということを、俺は知っていた。
だから、夕陽も本当の気持ち、言えなくてあんな態度取ったんだと思う。
「……俺。
逞の為なら発作だってへっちゃらって……言ったよね」
「……うん」
「だって俺……逞がたった一人の友達だったから……守りたくて、だからもう、大丈夫」
──殴ってごめんなさい。
──傷をつけてごめんなさい。
「どうやって償えばいいかなっ……?」
逞の額の痕を見て、更に夕陽が泣きじゃくる。
けど逞は、吹っ切れたように笑って、夕陽を強く抱き締め返すのだ。
【償い】──…その言葉を聞いて、俺は心が痛かった。
北城の姿が重なって、とてつもなく痛かった。
「じゃあ、俺と仲直りしよう……?」
アンクレットを持って、逞はニコッと笑う。
それにつられるように夕陽も最上級にかわいい笑顔で、ニコッと笑う。
「うん……」
もう二人は大丈夫だ──…。
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