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【デート編】第24話
* * *
【百田サイド】
放課後。
いつもの合図みたいに見夏先生の肩を叩いて、「おつかれさま」と言う。
そうすることで見夏先生は花のようにかわいい笑顔を向けてくれて、どくりと胸が高鳴る。
いつだって肩を叩くと振り向いてくれる。
そしてこの笑顔……優越感を感じない訳がない。
「北城もおつかれ」
「先生の小テストがんばっちゃってヘロヘロだよ~」
「でも満点だったよ。
すごいね、高校生の記憶力」
当たり前じゃん。
先生のテスト、頑張らないわけにはいかないでしょ。
それに留年なんかしたら学校で会えなくなるんだし、確かにサボり癖はあるけど、テストはそれなりに頑張るよ。
「あ、そうだ」
本来の目的を忘れてはいけない。
デートの為のリサーチをするんだった。
でも何から聞けばいいかな……。
やっぱり根本的な……日程?
「先生、もう夏休み入るし、どっか行かない?」
周りに聞こえないように極力小言で呟く。
こうすると見夏先生と秘密の約束をしてるみたいで、ちょっとのスリルと、ドキドキが味わえる。
見夏先生は何かを期待してるような顔で俺を見つめる。
俺からこういった遠出の誘いははじめてだから尚更……自惚れてしまう。
あと、めちゃくちゃにしたくなるくらい……かわいい。
「……日曜日なら、いつでも空いてるよ」
……まじか。
めちゃくちゃラッキーじゃん……。
「じゃあ……来週の日曜日」
「また詳しいこと、連絡してね」
見夏先生が職員室に向かった時、俺は廊下の隅っこで、「は~っ」と溜め息を吐きながら屈む。
見夏先生がかわいすぎるだけではなく、恋人らしいことができるなんて、幸せを極めていた。
「……」
見夏先生、知ってる?
俺一目惚れだったんだよ。
最初は確かに父の罪によって近づいた、だけど……。
雪のように白い肌。
華奢だけど程よく筋肉がついたしなやかな身体。
幼い、かわいらしい雰囲気のルックス。
見夏先生を一言で言うならば、「最上級に儚い」──…。
そんな人が平々凡々に俺に勉強を教えて、夜になったらすっごくエロくって、もう……どこかで壊れてしまいそうな虚ろな影を感じる。
俺が触れたら穢れてしまうのではないか。
俺と契りを結ぶたびに消えてしまうのではないか。
時より本当に……怖くなって、寂しくなる。
「バカだよな……」
思わず期待しちゃって、勢いで告白までして。
だけどあの時のキスは信じきれないくらい、とろけてしまいそうなほど心地よかった。
先生は嫌がらなかっただけと……本当はどう思ってるのか分からない。
知らない答えを教えて──…先生。
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