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第5話

 あの日から毎日、私はナストゥーフの手で高められ、あっけなく達している。  奴は日中の自由を私に許した。とはいえ、それは制限のあるもの。部屋と中庭だけが、私の世界の全てとなった。 「アスラン様、庭の花がとても美しく咲いておりますよ」  屈託ない笑みを浮かべる従者のサリフが、私の手に花を持たせる。その花を、私は水辺に座ったまま見下ろした。  私の宮廷にも咲いていた花だ。白い美しい花。これを湯に浮かべ、香りを楽しんだ。 「アスラン様?」 「……っ」  思い出すと胸が詰まる。あの自由はもうないのか。私は本当に、ここで生きるしかないのか。男の欲望を慰める未来しかないのだろうか。  屋敷にきて、二週間ほどがたった夜。私は全身くまなく……それこそ体の中まで洗われて部屋に放り込まれた。  そこには既にナストゥーフがいて、無機質な瞳を向けてくる。 「さて、多少仕込む事になります」 「!」  何を、とはもう言えない。体の中を綺麗にすると言われ、恥ずかしい思いをしてからのここだ。  近づいてくるナストゥーフに逆らうように踵を返すも、逃げられる場所はない。足枷が動きを鈍らせる。いや、こんな物がなくても身体能力が違うだろう。  簡単に担ぎ上げられ、寝台の上に放り投げられる。そうして次は四つん這いにさせられ、尻を上げさせられた。 「こちらを仕込むには時間がかかりますので、少し早めにしておかなければ」 「いやだ……」 「抵抗に意味がない事をそろそろ理解してください」  相変わらず感情のない声。続いて後孔に這わされるザラリとした硬い指先。その一本が躊躇いもなく、私の中へと入り込んでくる。 「ふぅぅ!」 「上手いですよ、アスラン様。そのように息を吐いていてください」  事前に解され、洗浄されたそこは指の一本をあっさりと飲み込んでしまう。  それをいいことにナストゥーフは指を捻りながら出入を繰り返していく。  気持ち悪い、怖い、止めてくれ!  心の中で叫んで体は縮こまる。もう、心の声を口にする気力も萎えてきたんだ。止まらない、終わらない、私の意思など無いも等しい。  擦れていく入口が更に開かれ、男の指を飲み込んでいく。それでも私は圧迫感と違和感しか今は感じていない。 「従順ですね。痛くはないですか?」 「……」  痛い方が良かった…… 「アスラン様?」  心配そうな声が背後でする。その気遣いを止めてくれ。道具のように扱うなら、そういてくれたほうがいい。時折かけられる優しさが、私を混乱させる。 「んぅ!」  圧迫感が増して、入口に痛みを感じる。あらぬ所を暴かれ、出入が繰り返されている。 「流石に感じておりませんが、まぁ、いいでしょう。十分に柔らかくなりそうですから」  興味を失ったという声音の次に、簡単に解放される。寝台の上、仰向けにされた私の男茎を握り、ナストゥーフは口づけをする。  途端に走るゾクゾクとした感覚に悲鳴を上げた。柔らかく熱い口内に包まれ、扱かれていく男茎が硬くなり、こみ上げる衝動に腰が揺れる。私の体はナストゥーフが与える快楽を覚え込んでいく。手で、口で慰められる気持ちよさを知ってしまった。 「止めてくれ! もう、私を追い込まないでくれ!」  こみ上げる射精感に叫んだ。涙が頬を伝った。吐き出した熱を、ナストゥーフは喉奥で受け止めて、更に丁寧に舐めとり、残滓までもを吸い上げていく。 「アスラン様」  泣きながら絶望を見る私の瞳を覗き込む青い瞳。心配そうに瞳を揺らし、優しさを込めて額に唇で触れる。  お前は何がしたいんだ、ナストゥーフ。男を受け入れる道具にすると言うならば、どうして人としての心を見せるんだ。事が終わる度、労るように唇で触れるんだ。お前のそれさえなければ、私はとっくの昔に絶望に染まれたのに。

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