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第2話

「はい、これをどうぞ―――それにしても、今宵も気分が優れないのですか?本調子でない貴方は―――見るだけですぐに分かります。私で宜しければ悩みを聞きましょうか?」 「そ、それは……その……尹先生から見て、僕はどのように見えますか?今日の昼間、周りの守子達に言われたのです―――僕はΩの劣等種で生きてるのさえ許されない存在だと―――尹先生、僕は……っ……」 「………魄、そのような言葉を間に受けるのは、お止めなさい。あのような低俗な輩の言う事など……受け流せばよいのです。」 「ですが……最近、本当にそのように思うのです―――このまま劣等種の僕が―――のうのうと生きているところで……一体、何の意味が……っ……」 ―――バシッ!! 涙ぐむのを必死で堪えながら、自分を悩まし続けている悩みを告げ終わる前に―――急に頬へ尹先生の右手が飛んできた。おそらく僕の頬は尹に叩かれ、赤くなっているに違いない。 「―――魄!!否定的になる癖は止めなさいと何度言いましたか!?貴方は―――自分で自分に呪いをかけている……あの愚か者どもの言葉を真に受けて……自分で自分の存在を否定しようとしている――――どれだけ、私が貴方を心配してると―――っ……!!?」 すると、僕の頬を勢いよく叩いたせいなのか―――尹先生の体が前のめりになり、倒れそうになったため慌てて彼の体を支えた。 「…………それに、それに―――貴方を大切に思っているのは私だけじゃないはずです……この国の王子である王花様も―――大切に思ってくれているでしょう?」 「じ、実は……王花様の事に関しても―――悩みがあるのです。彼は―――僕と運命の番になりたがっています……そんな資格、僕にはないのに……っ……」 またしても、否定的な言葉が自然と口から出てしまい、尹先生に平手打ちされてしまうのではないかと心配した僕は反射的にぎゅっと目を瞑ってしまうが―――今度は平手打ちが飛んでくる事はなかった。 その代わりに―――尹先生の大きな手が僕の頭を包みこみ優しく撫でてくれるのだった。

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